如来や菩薩の中には、ほかの仏を脇に従えているものがあります。
脇にいる仏像には、大きく分けて
- 脇侍(わきじ)
- 眷属(けんぞく)
の2つがあり、メンバーの数や顔ぶれはさまざま。
「脇侍」「眷属」には、どのような種類や役割があるのでしょうか?
仏像せんせい
イラストを交えながら、やさしく解説していきます。
1.脇侍(三尊像)
(1)脇侍とは
主役の仏の両サイドに脇役の仏を並べた「3体セット」の仏像を、三尊像(さんそんぞう)といいます。
主役の仏像は中尊(ちゅうそん)、脇役の仏像は脇侍(わきじ)とよばれます。
脇侍には、中尊をサポートしたり中尊の力を示したりする役割があります。
仏像せんせい
脇侍は、中尊の「子分」や「マネージャー」のような存在です。
(2)脇侍の種類
A.阿弥陀三尊
脇侍の中でもっともポピュラーなのは、阿弥陀如来を中心とする阿弥陀三尊(あみださんぞん)。
優しさで人びと救う聖観音と、智慧の光で世界を照らす勢至菩薩が、阿弥陀如来を脇からサポートします。
B.釈迦三尊
釈迦如来を中心とする、釈迦三尊(しゃかさんぞん)。
釈迦如来の「智慧」を受けもつ文殊菩薩と、その智慧を実践する普賢菩薩が、釈迦如来を脇からサポートします。
C.薬師三尊
薬師如来を中心とする、薬師三尊(やくしさんぞん)。
仏像界のお医者さまである薬師如来は、日光菩薩・月光菩薩とチームを組み、人びとの病や苦しみを癒やすために働きます。
D.その他
以上の代表的な3種類のほかにも、次のような脇侍がいます。
(右):向かって右/(左):向かって左
仏像せんせい
これらの脇侍は、あくまで基本形。
左右が逆のものや、お寺ごとに独自の配置をしたものなど、例外も多くあります。
左右が逆のものや、お寺ごとに独自の配置をしたものなど、例外も多くあります。
2.眷属
(1)眷属とは
2体のみからなる脇侍に対し、3体以上の大勢のメンバーで構成される脇役を、眷属(けんぞく)といいます。
眷属には、中尊とともに働いたり中尊を守ったりする役割があります。
仏像せんせい
眷属は、中尊の「家来」や「ボディーガード」のような存在です。
(2)眷属の種類
仏像せんせい
地蔵菩薩には(掌善童子と掌悪童子の)2体がつき従いますが、なぜか脇侍ではなく眷属とよばれています。
解説は、以上です。