八大童子(はちだいどうじ)を簡単に
- 八大童子とは、不動明王につかえる8体の神さま。
- メンバーが役割分担をしながら「4つの智慧」を実践する。
- 少年の姿をし、さまざまな武具を手に持つ。
1.八大童子とは
八大童子(はちだいどうじ)とは、不動明王につかえる8体の「少年の姿」をした神さま。
(不動明王の眷属)
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八大童子は『聖無動尊一字出生八大童子秘要法品』(略して「秘要法品」)という中国から伝わったお経に、その役割や姿かたちなどが書かれています。
この秘要法品によると、八大童子は4つの智慧をもつ4体と、四波羅蜜菩薩の性質を受けつぐ4体からなるとのことです。
八大童子のうち4体は「頭脳」として“智慧”を受けもち、そのほかの4体は「手足」となって“智慧”を実践します。
メンバーはそれぞれ武具を手に持ち、不動明王をガードするようにつき従います。
2.メンバー
(1)慧光童子
「大円鏡智」(すべてのものを鏡のようにありのままに映す智慧)をもつ童子。
肌はクリーム色で、顔は忿怒相を少しおさえたような表情をしています。
左手に月輪、右手に金剛杵を持ちます。
(月輪とは、「月を表す丸い円」をハスの茎にのせたもの)
(2)慧喜童子
「平等性智」(すべてのものが平等であることを知る智慧)をもつ童子。
肌は赤く染まり、顔は軽くほほ笑んでいます。
左手に宝珠、右手に三叉戟を持ちます。
(3)阿耨達童子
「妙観察智」(すべてのものを正しくとらえる智慧)をもつ童子。
肌は金色に輝き、金翅鳥(聖なる鳥)を頭にのせ、龍に乗ります。
左手に蓮華、右手に独鈷杵を持ちます。
(4)指徳童子
「成所作智」(すべてのものを完成させる智慧)をもつ童子。
甲冑を身にまとい、おでこには第三の目がついています。
左手に法輪、右手に三叉戟を持ちます。
(5)烏倶婆誐童子
「金剛波羅蜜」(金剛界の大日如来を東側からサポートする菩薩)の性質を受けつぐ童子。
(1)慧光童子のもつ「大円鏡智」を実践します。
荒っぽい性格であるとされています。
肌はとても硬く、髪は逆立ち(炎髪)、顔は怒りに満ちた忿怒相。
左手に独鈷杵を持ちます。
(6)清浄比丘童子
「宝波羅蜜」(金剛界の大日如来を南側からサポートする菩薩)の性質を受けつぐ童子。
(2)慧喜童子のもつ「平等性智」を実践します。
(7)矜羯羅童子
「法波羅蜜」(金剛界の大日如来を西側からサポートする菩薩)の性質を受けつぐ童子。
(3)阿耨達童子のもつ「妙観察智」を実践します。
穏やかな性格であるとされています。
(8)制吒迦童子
「業波羅蜜」(金剛界の大日如来を北側からサポートする菩薩)の性質を受けつぐ童子。
(4)指徳童子のもつ「成所作智」を実践します。
誠実でたくましい性格であるとされています。
肌は赤く染まり、顔は怒りに満ちた忿怒相。
髪を5つに束ね(五髻)、左手に金剛杵、右手に金剛棒(つえに似た武具)を持ちます。
3.有名な像とお寺
- 八大童子立像/観音寺[世田谷観音](東京)
- 八大童子立像/高野山霊宝館(和歌山)