帝釈天(たいしゃくてん)を簡単に
- 帝釈天とは、「天部」の中でいちばん強い神さま。
- 梵天とペアを組み、仏教を守護する。
- りりしい顔立ちをし、白いゾウに乗る。
1.帝釈天とは
帝釈天(たいしゃくてん)とは、「天部」の中でいちばん強い神さま。
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もともとはインドラという名のインドの戦いの神さまであり、あらゆる魔物を華麗に倒すことから、「神々の王」とよばれていました。
数多くある武勇伝の中でも、阿修羅とのすさまじい戦いの末に勝利した逸話が有名です。
帝釈天は、仏教に取り入れられてからは梵天(宇宙を創造した神さま)とペアを組み、仏教を守護する役割を担うようになります。
須弥山とよばれる神々の住む山の頂上に住み、四天王をはじめとする多くの家来を従えています。
単独でまつられることはほぼ無く、梵天とペアで並んだり、釈迦如来の脇侍としてまつられたりします。
2.姿かたち
釈迦如来の脇侍としてまつられる場合は、釈迦如来を中心にして向かって右に梵天、向かって左に帝釈天が並びます。
(この配置形式を釈迦三尊という)
帝釈天像には、以下の2つのタイプがあります。
(1)中国風の衣装を着て立つ像
主に飛鳥時代(592~710年)につくられた、古いタイプの像
1つの顔と2本の腕をもつ、人間に近い姿で表されます。
髪を高く結い上げ(垂髻)、2本の手は独鈷杵を持ったり与願印を結んだりします。
(2)白いゾウの上に座る像
平安時代(794~1185年)以降につくられた、密教に特有の像
密教(みっきょう)とは
仏教とヒンズー教が融合して生まれた、不思議な宗教。
「真言」とよばれる呪文や、「護摩」とよばれる火をたく儀式などが特徴。
大日如来と一体になることによって、人は生きたまま仏になれると説いている(即身成仏)。
(1)のタイプと同様、人間に近い姿で表され、貴人服と甲冑を身にまといます。
髪を高く結い上げ(垂髻)、おでこには第三の目がついています。
独鈷杵を手に持ち、神聖な動物とされる白いゾウに乗ります。
3.帝釈天のなかま
(先ほど書いたように)帝釈天は、釈迦三尊のメンバーとして
と一緒にまつられることがあります。
また、仏教界のガードマンである
を家来にもちます。
のメンバーの一員でもあります。
二十八部衆においては、「帝釈天王」という名前でよばれます。
4.ご利益
5.有名な像とお寺
- 帝釈天板本尊/題経寺[柴又帝釈天](東京)
- 梵天・帝釈天立像/瀧山寺(愛知)
- 立体曼荼羅のうち帝釈天騎象像/東寺(京都)
- 帝釈天立像/福寿寺[京都帝釋天](京都)
- 梵天・帝釈天立像/唐招提寺(奈良)
木の板に刻まれた帝釈天
映画『男はつらいよ』の主人公・寅さんのゆかりの寺である「柴又帝釈天」には、平らな木の板に刻まれた秘仏の帝釈天(板本尊とよばれる)がまつられている。
江戸時代に大規模な飢餓が起こった際、この板本尊は人びとに不思議なご利益を授け、苦しみから救ったという。