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吉祥天とは | 仏像入門ドットコム

吉祥天立像

吉祥天

吉祥天(きちじょうてん)を簡単に

  • 吉祥天とは、「富」と「幸運」をもたらす女神。
  • 中国風のゴージャスな衣装を身にまとう。
  • 夫の毘沙門天びしゃもんてん・子の善膩師童子ぜんにしどうじとともに、親子でまつられる。

1.吉祥天とは

吉祥天(きちじょうてん/きっしょうてん)とは、「富」と「幸運」をもたらす女神。

もともとはラクシュミーという名のインドの神さまであり、美と繁栄の女神として信仰されていました。

奈良時代(710~794年)に『金光明最勝王経こんこうみょうさいしょうおうきょう』というお経が中国から伝わったのがきっかけで、日本でも吉祥天が知られるようになります。
このお経によると、「吉祥天の名をとなえれば、作物が豊かに実り、富を得て裕福になれる」とされています。

ラクシュミーの性格を受けつぐ吉祥天は、仏教に取り入れられてからも「富」と「幸運」をもたらす美しい女神として人びとから親しまれています。

仏像せんせい
仏像せんせい
吉祥天はかつては七福神のメンバーでしたが、室町時代(1336~1573年)以降は、水の女神である弁財天にその座を奪われてしまいます。

吉祥天をまつるお寺で毎年正月に行われる吉祥悔過会(きちじょうけかえ)という儀式では、人びとが吉祥天の前で罪を悔やみながら、五穀豊穣ごこくほうじょう国の平和を祈ります。

吉祥天は、夫の毘沙門天・子の善膩師童子ぜんにしどうじとともに、親子3人でまつられることが多いです。

2.姿かたち

吉祥天立像

吉祥天立像

中国の女性貴族をモデルとしているため、ゴージャスな貴人服をまとい、宝冠瓔珞などのアクセサリーを身につけています。

左手に宝珠を持ち、右手で与願印を結びます。

背後では円光が輝き、蓮華座に乗ります。

立っている像(正立像)が一般的ですが、台に腰かけている像(善跏倚坐)、両足を組んで座っている像(結跏趺坐または半跏趺坐)も一部あります。

3.吉祥天のなかま

吉祥天には、以下の家族がいます。


  • ・・・徳叉迦とくしゃか(龍の姿をした王)

  • ・・・鬼子母神

  • ・・・婆藪仙人ばすせんにん釈迦しゃかに救われた仙人)

  • ・・・黒闇天こくあんてん(災いをもたらす神)

  • ・・・毘沙門天

  • ・・・善膩師童子ぜんにしどうじ(賢い子ども)

吉祥天は、千手観音眷属である

のメンバーの一員でもあります。

二十八部衆においては、「大弁功徳天だいべんくどくてん」という名前でよばれます。

4.ご利益

5.有名な像とお寺

  • 吉祥天坐像および毘沙門天・善膩師童子立像/福光園寺ふっこうおんじ(山梨)
  • 毘沙門天立像および吉祥天・善膩師童子立像/鞍馬寺くらまでら(京都)
  • 毘沙門天立像および吉祥天・善膩師童子立像/勝林寺しょうりんじ(京都)
  • 吉祥天立像/浄瑠璃寺じょうるりじ(京都)
  • 毘沙門天・吉祥天立像/法隆寺ほうりゅうじ金堂こんどう(奈良)

夫と子を従えるレアな像

吉祥天像を夫婦と子の3体セットでまつる場合は、毘沙門天(夫)を中央に置き、3体とも立像であるのがふつうである。
そうした中、「福光園寺」の像は、両脇に夫と子(立像)を従え、さらに坐像である。

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