仏像の頭に注目すると、さまざまな髪型をしているのがわかります。
小さなブツブツがついたもの、大きく盛り上がったもの、炎のように逆立ったもの……など。
これらの髪型には、どのような種類や意味があるのでしょうか?
1.螺髪と肉髻
(1)螺髪
「小さな渦巻き」がびっしりと並んだパンチパーマのような髪型を、螺髪(らほつ)といいます。
如来に特有の髪型であり、長い修行の間に伸びた髪の毛がくるくると丸まることによって、このようなヘアスタイルに。
有名な「奈良の大仏」や「鎌倉大仏」の頭のブツブツも、この螺髪です。
(2)肉髻
螺髪のてっぺんにあるコブのようなふくらみを肉髻(にっけい/にくけい)といい、この中にはたくさんの「智慧」が詰まっているとされています。
さらに、肉髻の正面には、赤色または透明の小さな玉がついています(上のイラストでは赤色)。
この小さな玉を肉髻珠(にっけいしゅ/にっけいじゅ)といい、智慧の光を放つといわれています。
さとりを開いた如来ならではの特徴です。
2.宝髻
髪を結い上げたものを宝髻(ほうけい)といい、結い方の違いによって3つのタイプに分けられます。
(1)一髻・双髻など
お団子ヘアのような、丸く結んだ髪型。
結ぶ数によって、一髻(いっけい)・双髻(そうけい)・五髻(ごけい)・六髻(ろっけい)・八髻(はちけい)などがあります。
(2)垂髻
頭のてっぺんで髪を束ねてその毛先を垂らした髪型を、垂髻(すいけい)といいます。
(菩薩に多く見られる)
菩薩の姿はインドの貴族をモデルとしているため、垂髻は大きく盛り上がった形をしています。
(3)高垂髻
垂髻よりもさらに高く結い上げた髪型を、高垂髻(こうすいけい)といいます。
こちらも菩薩に多く見られ、上から冠をかぶっているものもあります。
3.垂髪
髪を両側で束ねて肩に垂らした髪型を、垂髪(すいはつ/すいほつ)といいます。
菩薩の一部に見られます。
4.総髪
髪の毛全体を後ろになで上げたオールバック風の髪型を、総髪(そうはつ)といいます。
総髪のてっぺんには、「開蓮」または「莎髻」がのっています。
(開蓮とは蓮華の花が開いたもの、莎髻とは蓮華の花が閉じたもののこと)
おさげのように髪を束ねて垂らした部分は、弁髪(べんぱつ)とよばれます。
不動明王に特有の髪型です。
5.巻髪
大きくカールした髪型(螺髪よりも渦巻きが大きい)を、巻髪(けんぱつ)といいます。
総髪と同様、巻髪のてっぺんには「開蓮」または「莎髻」がのっています。
こちらも不動明王に特有の髪型です。
6.炎髪
燃えさかる炎のように逆立った髪型を、炎髪(えんぱつ)といいます。
焔髪(えんぱつ)、怒髪(どはつ)ともよばれ、明王をはじめとする恐ろしい姿をした仏像に多く見られます。
7.剃髪
坊主頭のように短くそった髪型を、剃髪(ていはつ)といいます。
お坊さんの姿をした仏像が、この髪型をしています。
解説は、以上です。