八幡大菩薩(はちまんだいぼさつ)を簡単に
- 八幡大菩薩とは、国の平和をもたらす仏さま。
- 神さまでもあり、昔から「武士の守り神」としてまつられてきた。
- お坊さんの姿をし、数珠と錫杖を持つ。
1.八幡大菩薩(僧形八幡神)とは
八幡大菩薩(はちまんだいぼさつ)とは、国の平和をもたらす仏さま。
名前に菩薩とありますが、もともとは八幡神(はちまんしん)という日本の神さまです。
八幡神(八幡さま)とは
第15代・応神天皇を神さまとしてまつったもの。
「勝利の神」として知られ、その神社は日本全国に4万600社ほど(神社数 No.1)もある。
宇佐神宮(大分)を総本山とし、鶴岡八幡宮(神奈川)や石清水八幡宮(京都)などが有名。
奈良時代(710~794年)に東大寺の大仏をつくる際、宇佐神宮の神主が「八幡神が大仏づくりに協力する」という神のおつげを受けたそうです。
このおつげは朝廷に伝えられ、八幡神は大仏づくりを指揮する聖武天皇の強い味方となります。
大仏に塗る「金」が不足すると、“金は必ず国内で堀り出される”という予言をもたらし、宮城県から大量の金が発掘されたといいます(当時は、金を外国からの輸入に頼っていた)。
こうして大仏づくりは成功し、その後、天皇は八幡神に「大菩薩」という立派な呼び名を贈りました。
この大菩薩という名前には、
- 人びとを救う偉大な者
- 国家や仏教を守ってくれる仏さま
などの意味が込められています。
このようにして仏教と結びついた八幡神は、「八幡大菩薩」とよばれ、国の平和をもたらす役割を担うようになります。
八幡大菩薩は、お坊さんの姿をしていることから、僧形八幡神(そうぎょうはちまんしん)ともよばれます。
八幡神をお坊さんの姿で表したのが八幡大菩薩であり、神さまであると同時に、仏さまでもあるのです。
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平安時代(794~1185年)には、武士の守り神としてあがめられるようになり、日本各地のお寺に僧形八幡神の像がまつられました。
武士たちは、戦いの際に「南無八幡大菩薩」と唱えたり、「八幡大菩薩」と書かれたのぼり旗を掲げたりして、勝利を祈っていたそうです。
2.姿かたち
頭をそって袈裟を着た、お坊さんの姿で表されます。
左手に煩悩(欲望や迷いの心)を断ち切る数珠、右手に悪を追いはらう錫杖を持ちます。
(錫杖を持たない像も一部ある)
背後では円光が輝き、両足を組んで座ります(結跏趺坐または半跏趺坐)。
八幡大菩薩は地蔵菩薩と姿かたちがよく似ていますが、見分けるポイントは次の2つ。
- 大人の姿
・・・地蔵菩薩が「若者の姿」であるのに対し、八幡大菩薩は「大人の姿」で表される。 - 数珠
・・・地蔵菩薩は左手に宝珠を持つが、八幡大菩薩の左手には「数珠」を持つ。
3.ご利益
4.有名な像とお寺
- 僧形八幡神坐像/東寺(京都)
- 僧形八幡神坐像/東大寺(奈良)
- 僧形八幡神坐像/薬師寺・休ヶ岡八幡宮(奈良)
※奈良国立博物館に寄託(2025年1月現在) - 八幡大菩薩坐像/護国寺(長崎)