仏像せんせい
仏像の4つのグループの一つである「明王」について、やさしく解説しています。
明王(みょうおう)を簡単に
- 明王とは、如来が「恐ろしい姿」に変身した者のこと。
- ひねくれ者を力ずくで導くのが役割。
- 怒りの表情をし、背後では炎がメラメラと燃えさかる。
1.明王とは
明王(みょうおう)とは、如来が「恐ろしい姿」に変身した者のこと。
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世の中には、如来や菩薩が優しく教えを説いても聞かない、あまのじゃくのような人たちもいます。
そんな「ひねくれ者」を力ずくで導く役目をもつのが明王であり、化け物のような恐ろしい姿をしています。
明王は密教という教えの中で生まれ、平安時代(794~1185年)に弘法大師空海によって日本に伝えられました。
密教(みっきょう)とは
仏教とヒンズー教が融合して生まれた、不思議な宗教。
「真言」とよばれる呪文や、「護摩」とよばれる火をたく儀式などが特徴。
大日如来と一体になることによって、人は生きたまま仏になれると説いている(即身成仏)。
明王のような強烈な姿の仏は、それまで日本にはいなかったため、初めて目にした人びとはとても驚いたそうです。
2.明王のすがた
明王のほとんどは、多くの顔と腕をもつ多面多臂(ためんたひ)の姿で表されます。
人びとを強引に正しい道へ連れていくために、顔は怒りに満ちた忿怒相をしています。
羂索・宝剣・金剛杵などの武具を手に持ち、背後では火焔光がメラメラと燃えさかります。
3.明王の種類
「お不動さん」として親しまれている不動明王(ふどうみょうおう)は、大日如来が姿を変えたものであり、日本各地にまつられています。
仏像せんせい
東京だと、「高幡不動」や「目黒不動」が有名ですね。
ほかにも、阿閦如来が変身した降三世明王(ごうざんぜ——)、宝生如来が変身した軍荼利明王(ぐんだり——)など、さまざまな明王がいます。