阿修羅(あしゅら)を簡単に
- 阿修羅とは、仏教とその教えを信じる人たちを守る神さま。
- 悪い神であったが、お釈迦さまに導かれて改心する。
- 3つの顔に6本の腕をもつ、クモのような姿が特徴。
1.阿修羅とは
阿修羅(あしゅら)とは、仏教とその教えを信じる人たちを守る神さま。
もともとはアスラという名のインドの神さまであり、大地に恵みを与える「太陽の神」として信仰されていました。
(1)帝釈天との戦い
アスラにはとても美しい一人娘がおり、神々の王であるインドラ(=帝釈天)といずれ結婚させようと考えていました。
ところが、インドラは時を待たずに娘を無理やり奪い去ってしまいます。
アスラは怒り狂い、インドラに戦いを挑みます。
壮絶な戦いが繰り広げられた結果、アスラは完敗しました。
アスラは負けてもなお戦い続けたため、神々の住む天界から追放され、修羅道という世界の主となります。
修羅道(しゅらどう)とは
六道の世界の一つである、争いの絶えない世界。
「修羅場」の語源となっている。
一見するとアスラのほうが正義のように思えますが、何度もしつこく戦い続けたため、「悪」とみなされるようになったのです。
(2)生まれ変わった阿修羅
アスラはのちに仏教に取り入れられ、「阿修羅」とよばれるようになります。
お釈迦さま(=釈迦如来)の教えを受けた阿修羅は、過去の行いを反省し、仏教とその教えを信じる人たちを守る神さまへと生まれ変わりました。
(3)阿修羅と仏像ブーム
2009年に東京国立博物館で開催された『国宝 阿修羅展』では、美少年のような顔立ちをした興福寺の阿修羅像が多くの人びとを魅了しました。
「来場者数 94万人超」という世界的記録を残す大ヒット展覧会となり、“仏像ブーム”とよばれる社会現象を巻き起こしました。
2.姿かたち
3つの顔に6本の腕をもつ、三面六臂(さんめんろっぴ)の姿が一般的です。
(三面四臂、三面二臂の像も一部ある)
髪を結い上げ(垂髻)、条帛や裙をまとったり、瓔珞・臂釧などのアクセサリーを身につけたりしています。
板金剛とよばれる底に板を張った草履もはいています。
6本の手のうち、真ん中2本の手は合掌します。
そのほかの手は何も持たないことが多いですが、もともとは日輪・月輪・弓矢などを持っていたといわれています。
(日輪・月輪とは、それぞれ「太陽を表す丸い円」「月を表す丸い円」のこと)
州浜座の上に立つ像(立像)が一般的ですが、座っている像(坐像)も一部あります。
- 向かって左の顔
・・・「怒り」の表情。復讐の心に満ちている。 - 向かって右の顔
・・・「悩み」の表情。過ちに気づき始める。 - 正面の顔
・・・「さとり」の表情。釈迦の教えによって正しい道を知る。
3.阿修羅のなかま
のメンバーの一員です。
のメンバーにも加わります。
二十八部衆においては、「阿修羅王」という名前でよばれます。
4.ご利益
仏教守護
5.有名な像とお寺
- 二十八部衆のうち阿修羅王立像/慈恩寺(埼玉県さいたま市)
- 二十八部衆のうち阿修羅王立像/塩船観音寺(東京)
- 二十八部衆のうち阿修羅王立像/三十三間堂(京都)
- 八部衆のうち阿修羅立像/興福寺(奈良)
- 八部衆のうち阿修羅坐像/法隆寺(奈良)
スーパースターの誕生秘話
仏像界きってのスーパースター“興福寺の阿修羅立像”は、「法隆寺」の像をモデルにしてつくられたといわれている。
なお、法隆寺の像は、日本に現存する最古の阿修羅像として有名。