馬頭観音(ばとうかんのん)を簡単に
- 馬頭観音とは、頭に「馬の顔」をのせた観音さま。
- 怒った顔をし、人びとの迷いの心を食べつくす。
- 六観音のメンバーの一員。
1.馬頭観音とは
馬頭観音(ばとうかんのん)とは、頭に「馬の顔」をのせた観音さま。
菩薩でありながら怒った顔をしているため、馬頭明王(ばとうみょうおう)ともよばれます。
心と体を苦しめる強力な煩悩から人びとを解放するには、優しい表情では太刀打ちできません。
そこで、怒った顔をした馬頭観音が生み出されたのです。
煩悩(ぼんのう)とは
人びとの苦しみの原因となる、欲望や迷いの心。
「激しい体の欲求」「憎しみ」「後悔」など、108種類あるといわれている。
馬頭観音は、馬が草をむしゃむしゃと食べるように、煩悩や災いを食べつくすとされています。
馬頭観音には、畜生道(ちくしょうどう)という動物たちの住む世界(六道の一つ)を守る役割もあります。
最近では馬頭観音がまつられている動物霊園も多く、動物・ペットを供養してくれると信じられています。
また、交通手段が発達していない昔は、馬は大切な乗り物であったため、交通安全のご利益があるともいわれています。
2.姿かたち
菩薩の中で唯一、明王のような恐ろしい格好をしています。
3つの顔と8本の腕をもつ、三面八臂(さんめんはっぴ)の姿が一般的です。
髪は逆立ち(炎髪)、顔は怒りに満ちた忿怒相。
おでこには、第三の目がついています。
(8本の手のうち)真ん中2本の手は馬口印を結び、そのほかの手は法輪・数珠・宝剣・宝棒・鉞斧などを持ちます。
3.馬頭観音のなかま
馬頭観音は、六観音(ろくかんのん)とよばれる、6体セットの観音菩薩のメンバーの一員です。
六観音には、馬頭観音のほかに以下のメンバーがいます。
※天台宗(密教・坐禅などを融合した仏教の宗派)系のお寺では、准胝観音の代わりに不空羂索観音(ふくうけんさくかんのん)がまつられます。
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六観音(ろくかんのん)を簡単に 六観音とは、観音さまが変身する6つの姿のこと。 多くの顔や腕をもつ、超人的な姿かたちをしている。 「六道ろくどう」という苦しみの世界を管理する。
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4.ご利益
5.有名な像とお寺
- 馬頭観音菩薩坐像/輪王寺(栃木)
- 馬頭観音菩薩立像/豊財院(石川)
- 馬頭観音菩薩坐像/中山寺(福井)
- 馬頭観音菩薩立像/浄瑠璃寺(京都)
- 馬頭観音菩薩立像/観世音寺(福岡)