衣を1枚まとっただけのもの、豪華なアクセサリーを身につけたもの、よろいかぶとに身を固めたもの……
仏像の服装にはさまざまな種類があり、それぞれの性格が表れています。
(イラスト付き)
1.如来の服装(衲衣)
如来は、すべてを捨てて出家したお釈迦さまをモデルとしているため、衣を1枚まとっただけのシンプルな服装をしています。
あわせて読みたい如来とは | 仏像入門ドットコム
続きを見る
この簡素な衣は衲衣(のうえ)とよばれ、古い布をつなぎ合わせてつくられています。
衲衣には、以下の2通りの着方があります。
(1)偏袒右肩
右肩を出して左肩を衣で覆う着方を、偏袒右肩(へんたんうけん)といいます。
右肩を完全に出して着るのが一般的ですが、(上のイラストのように)衣を少しだけ肩に引っかけることもあります。
(2)通肩
両肩を衣で覆う着方を、通肩(つうけん)といいます。
2.菩薩の服装
菩薩は、まだ王子だったころのお釈迦さまをモデルとしているため、インドの貴族のような華やかな服装をしています。
あわせて読みたい菩薩とは | 仏像入門ドットコム
続きを見る
冠・羽衣・ブレスレットなど、豪華なファッションに身を包んでいます。
(1)宝冠
宝冠(ほうかん)とよばれる、宝石をちりばめた冠をかぶっています。
(2)化仏
宝冠の正面についている小さな仏像を、化仏(けぶつ)といいます。
(化仏は、頭に直接のせることもある)
菩薩は阿弥陀如来の脇侍となることがあるため、目標とする阿弥陀如来の化仏を頭につけています。
(3)条帛
肩から斜めに掛けた「たすき」のような布を、条帛(じょうはく)といいます。
(4)天衣
肩から足もとまで垂らした、天女の羽衣のような布を、天衣(てんね)といいます。
(5)裙(裳)
腰に巻きつけたスカートのような布を、裙(くん)または裳(も)といいます。
その上からひもを結んだり、帯を巻いたりします。
(6)耳璫
耳たぶにつけるピアス式の耳飾りを、耳璫(じとう)といいます。
(7)瓔珞
首からさげるネックレスのような飾りを、瓔珞(ようらく)といいます。
宝石や金銀などが使われ、きらびやかなデザインをしています。
(8)臂釧・腕釧など
上腕につける飾りを臂釧(ひせん)、手首につけるブレスレットのようなものを腕釧(わんせん)といいます。
足首には、足釧(そくせん)とよばれるアンクレットのような飾りをつけることがあります。
3.明王の服装
明王といえば恐ろしい姿をイメージしますが、じつは菩薩とほぼ同じ服装をしています。
あわせて読みたい明王とは | 仏像入門ドットコム
続きを見る
条帛や裙をまとい、瓔珞・臂釧などのアクセサリーを身につけています。
明王がまとう裙には、菩薩と同じ布状のものと、トラの皮からつくられた虎皮裙(こひくん)があります。
4.天部の服装
いろいろな神さまの集まりである天部は、見た目も性格もバラバラです。
あわせて読みたい天部とは | 仏像入門ドットコム
続きを見る
その服装もひとくくりにできないため、代表的なものだけを書きます。
(1)貴人服
中国の貴族が身にまとう服を貴人服(きじんふく)といい、貴神形の天部に見られます。
(2)甲冑
頭を守る「よろい」と胴を守る「かぶと」からなる装身具を、甲冑(かっちゅう)といいます。
武神形の天部に見られます。
(3)道服
ゆったりとした羽織のような服を、道服(どうぶく/どうふく)といいます。
あの世の裁判官である十王が、この道服を着ています。
解説は、以上です。