仏像の姿勢には、大きく分けて
- 立像(りゅうぞう)
・・・立っている姿 - 倚像(いぞう)
・・・腰かけている姿 - 坐像(ざぞう)
・・・べったりと座る姿 - 臥像(がぞう)
・・・横たわる姿
の4種類があります。
さらに、この4種類には、さまざまなバリエーションがあります。
1.立像
立っている姿
(1)正立像
足をそろえてまっすぐに立つ姿勢を、正立像(しょうりゅうぞう)といいます。
如来、菩薩、不動明王、天部の一部(吉祥天や弁財天)など、あらゆる種類の仏像に見られます。
(2)遊足像(遊脚像)
正立像の片足を少し前に出した姿勢を、遊足像(ゆうそくぞう)または遊脚像(ゆうきゃくぞう/ゆぎゃくぞう)といいます。
遊足像には、上半身をまっすぐに保ったものもあれば、(上のイラストのように)片足に大きく体重をかけたものもあります。
菩薩に多く見られます。
(3)丁字像
片足を大きく上げて立つ、躍動感のある姿勢を、丁字像(ちょうじぞう)といいます。
2.倚像
台に腰かけている姿
(1)善跏倚坐
榻座に腰かけて両足を地面におろした座り方(私たちがイスに座るのと同じ姿勢)を、善跏倚坐(ぜんかいざ)といいます。
作例の少ない珍しいポーズであり、深大寺の釈迦如来倚像が有名。
(2)半跏倚坐(半跏踏下坐)
善跏倚坐の右足を曲げて左太ももの上にのせた座り方を、半跏倚坐(はんかいざ)、半跏踏下坐(はんかふみさげざ)、または半跏像(はんかぞう)といいます。
菩薩のみに見られるポーズであり、広隆寺の弥勒菩薩半跏像と中宮寺の菩薩半跏像が有名。
3.坐像(座像)
台座にべったりと座る姿
(1)結跏趺坐
両足を組んで(足の裏が見えるように)太ももの上にのせた座り方を、結跏趺坐(けっかふざ)といいます。
結跏趺坐は瞑想のポーズであり、さとりを開いた如来に多く見られます。
左右どちらの足を上に置くかによって、以下の2つのタイプに分けられます。
A.降魔坐
左足を上にした結跏趺坐を、降魔坐(ごうまざ)といいます。
B.吉祥坐
右足を上にした結跏趺坐を、吉祥坐(きっしょうざ)といいます。
(2)半跏趺坐
両足を太ももの上にのせた結跏趺坐に対し、片足のみを反対側の太ももの上にのせた座り方を、半跏趺坐(はんかふざ)といいます。
菩薩に多く見られます。
(3)遊戯坐
片足を軽く前へ投げ出した座り方(足を崩した座り方)を、遊戯坐(ゆげざ/ゆうぎざ)といいます。
台座に乗るタイプと、床にべったりと座るタイプがあります。
こちらも菩薩に多く見られます。
しかし実際には、仏像入門書やお寺のウェブサイトの多くが、遊戯坐を「半跏倚坐(半跏像)」と書いています。
(4)輪王坐
片ひざを立てて両足の裏を合わせた座り方を、輪王坐(りんのうざ)といいます。
如意輪観音に多く見られます。
(5)跪坐(大和座り)
正座の状態から両足のつま先を立てて少し前かがみになった座り方を、跪坐(きざ)または大和座り(やまとずわり)といいます。
阿弥陀如来の脇侍に見られます。
(6)箕坐
正座の状態から両足を横に崩した座り方を、箕坐(きざ)といいます。
弁財天に見られます。
4.臥像
ごろんと横たわった姿勢を、臥像(がぞう)といいます。
数ある仏像の中でも、このポーズをしているのは涅槃仏のみ。
涅槃仏はお釈迦さまが亡くなるときの姿を表したものであり、右手で頭を支えて横たわっています。
解説は、以上です。