弥勒菩薩(みろくぼさつ)を簡単に
- 弥勒菩薩とは、人びとを救う方法をいつも考えている菩薩。
- 56億7千万年後、如来となって人間界におりてくる。
- 右手を頬に添え、美しいほほ笑みを浮かべている。
1.弥勒菩薩(弥勒さま)とは
弥勒菩薩(みろくぼさつ)とは、人びとを救う方法をいつも考えている菩薩。
親しみを込めて、弥勒さまともよばれます。
弥勒という名前は、マイトレーヤという古代インドの言葉を漢字に置きかえたもの。
マイトレーヤには、「慈みから生まれた者」という意味があります。
優しさに満ちた弥勒菩薩は、「どうやって人びとを救おうか……」と、いつも考え続けています。
弥勒菩薩は、お釈迦さまが亡くなってから56億7千万年後というはるか遠い未来に、如来となって私たちの住む人間界におりてくるとされています。
そのため、未来仏(みらいぶつ)ともよばれます。
それまでの間は、はるか上空にある兜率天とよばれる場所で、(人びとを救う方法を考えながら)如来になるための修行を積んでいます。
平安時代(794~1185年)の終わりごろ、日本では末法思想という考え方が流行しました。
末法(まっぽう)思想とは
(お釈迦さまが亡くなってから2世紀ほど経った)平安時代の終わりごろに仏教が消滅し、人びとが救われなくなるという考え方
不安になった人びとは、つらい現実から逃れたいと願い、弥勒菩薩への信仰が盛んになりました。
2.姿かたち
弥勒菩薩の服装やポーズは、時代によって異なります。
(1)飛鳥・奈良時代の像
飛鳥時代(592~710年)・奈良時代(710~794年)の像は、宝冠と裙のみを身につけたシンプルな服装をしています。
右手を頬に近づけ(思惟手)、美しいほほ笑み(アルカイックスマイル)を浮かべています。
半跏倚坐という足のポーズも特徴です。
この物思いにふけるような独特の姿は、半跏思惟像(はんかしゆいぞう)とよばれます。
(2)平安時代以降の像
平安時代(794~1185年)以降の像は、ほかの菩薩と同様、インドの貴族のような華やかな服装をしています。
半跏思惟像はほぼ無く、立っている像(正立像)と、座っている像(坐像)が多く見られます。
3.弥勒菩薩のなかま
弥勒菩薩が56億7千万年後に如来になった姿として、
があります。
また、七福神のメンバーである
は、弥勒菩薩の化身(生まれ変わり)とされています。
4.ご利益
5.有名な像とお寺
広隆寺(京都)の宝冠弥勒と、中宮寺(奈良)の菩薩半跏像は、日本でもっとも有名な弥勒菩薩像。
広隆寺の宝冠弥勒は、その姿が「ロダンの考える人」に似ていることから、東洋の詩人という愛称をもちます。
中宮寺の菩薩半跏像は、ほほ笑みがとても美しいため、「モナリザ」「スフィンクス」とともに世界三大微笑とよばれています。
中宮寺の菩薩半跏像は、お寺の言い伝えでは如意輪観音となっているが、もともとは弥勒菩薩であったといわれている。
【そのほかの有名な像】
- 弥勒菩薩半跏像[泣き弥勒]/広隆寺・霊宝殿(京都)
- 弥勒菩薩坐像/醍醐寺(京都)
- 弥勒菩薩半跏像/野中寺(大阪)