弁財天(べんざいてん)を簡単に
- 弁財天とは、さまざまな恵みをもたらす「水の女神」。
- 美しい天女の姿をし、琵琶をかなでる。
- 七福神のメンバーの一員。
1.弁財天(弁才天)とは
弁財天(べんざいてん)とは、さまざまな恵みをもたらす「水の女神」。
弁才天とも書き、親しみを込めて弁天さま・弁天さんなどともよばれます。
弁財天は、もともとはサラスバティーという名のインドの神さまであり、作物を豊かに実らせる川の女神として信仰されていました。
川の流れる音が「音楽」や「言葉」に例えられることから、のちに音楽・芸能・学問の神へと変化します。
そして、奈良時代(710~794年)になると、幸運の女神である吉祥天とともに日本に伝えられました。
稲作が盛んな日本では水は欠かすことができないため、水の神である弁財天は人びとに広く知れ渡ります。
初めのうちは「弁才天」と表記されていましたが、やがて「弁財天」とも書かれるようになります。
この2つの表記には、次のような由来があります。
弁才天
才能の「才」
音楽・芸能などの才能を授ける神であることに由来。
弁財天
財宝の「財」
日本に伝わった後に「財宝の神」という性格がつけ加えられたことに由来。
さらに、仏教の守り神である天部となった弁財天は、戦いの女神という性質もあわせもつようになります。
- 五穀豊穣をもたらす水の神
- 音楽・芸能・学問の神
- 富をもたらす財宝の神
- 勝負事に強い、戦いの神
弁財天は、水の神という性質から日本各地の島や水辺にまつられ、今も変わらず人びとから親しまれています。
2.姿かたち
弁財天像には、以下の2つのタイプがあります。
(1)一般的な像
音楽の女神としての像
琵琶をかなでる、美しい天女の姿で表されます。
貴人服や天衣などを身にまとい、宝冠をかぶります。
(裸のものもある)
(2)宇賀弁財天
戦いの女神としての像
1つの顔に8本の腕をもつ、一面八臂(いちめんはっぴ)の姿が一般的です。
(1)のタイプと同様、貴人服を身にまとい、宝冠をかぶります。
おじいさんの顔をしたヘビの神(宇賀神)を頭にのせ、その正面にはミニチュアの鳥居が取りつけられています。
琵琶は持たず、宝珠・法輪・宝塔・羂索などの道具や、宝剣・宝棒・宝戟・弓矢・鉞斧などの武具を手に持ちます。
3.弁財天のなかま
(1)七福神
弁財天は、福の神として知られる七福神(しちふくじん)のメンバーの一員です。
七福神には、弁財天のほかに以下のメンバーがいます。
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(2)そのほかの仲間
弁財天は、宇宙を創造した神さまである
を夫にもちます。
4.ご利益
5.有名な像とお寺(神社)
- 宇賀弁財天坐像/江島神社(神奈川)
- 弁財天坐像/鶴岡八幡宮(神奈川)
※鎌倉国宝館に寄託(2024年7月現在) - 宇賀弁財天坐像/宝厳寺[竹生島神社](滋賀)
- 宇賀弁財天立像/孝恩寺(大阪)
- 宇賀弁財天坐像/大願寺[厳島神社](広島)
日本三大弁天
「江島神社」「竹生島神社」「厳島神社」の3つの神社は、日本三大弁天として知られている。
毎年6月10日には、竹生島神社にて合同の“三社弁財天祭り”が盛大に行われる。