軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)を簡単に
- 軍荼利明王とは、体中にヘビを巻きつけた明王。
- 人びとの迷いの心や災いを消滅させる。
- 五大明王のメンバーの一員。
1.軍荼利明王とは
軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)とは、体にヘビを巻きつけた明王。
軍荼利という名前は、クンダリーニという古代インドの言葉を漢字に置きかえたもの。
クンダリーニには、「とぐろを巻いたヘビ」という意味があります。
(ヨガやレイキヒーリングでは、「人体に宿る生命エネルギー」という意味で使われる)
その名のとおり軍荼利明王は、体中にヘビを巻きつけた不気味な姿をしています。
執念深い生き物であるヘビは、人間のもつ煩悩(欲望や迷いの心)のシンボルでもあります。
軍荼利明王は、まとわりつくヘビを退治するように煩悩を打ち砕き、人びとを苦しみから解放します。
その一方で、ヘビのもつ毒が作用するように、目に見えない敵(災い、悪行など)も消滅させます。
- ヘビのもつ“智慧”によって、煩悩を打ち砕く。
- ヘビに象徴される煩悩を、ヘビ自身の“毒”によって滅ぼす。
(毒をもって毒を制す) - etc…
軍荼利という名前には、「アムリタの入ったつぼ」という意味もあります。
アムリタとは神々が飲む不老不死の薬であることから、軍荼利明王には病気平癒や延命(長寿)などのご利益があるとされています。
五大明王のメンバーとして、南の方角を守る役割も担います。
2.姿かたち
1つの顔と8本の腕をもつ、一面八臂(いちめんはっぴ)の姿が一般的です。
菩薩と同様、肩から斜めに条帛をかけ、瓔珞・臂釧などのアクセサリーを身につけています。
腰に巻きつけたスカートのようなものは、虎皮裙とよばれるトラの皮からつくられた布。
髪は逆立ち(炎髪)、顔は怒りに満ちた忿怒相。
おでこには、第三の目がついています。
(8本の手のうち)真ん中2本の手は大瞋印を結び、そのほかの手は法輪・金剛杵・宝戟・鉞斧などを持ちます。
首・腕・足首などに、トレードマークであるヘビを巻きつけています。
左右の足は、2輪の蓮華の花(踏割蓮華座)に支えられています。
単独でまつられることは少なく、通常は五大明王のうちの1体としてまつられます。
3.軍荼利明王のなかま
(1)五大明王
(先ほど書いたように)軍荼利明王は、五大明王(ごだいみょうおう)とよばれる、5体セットの明王のメンバーの一員です。
五大明王には、軍荼利明王のほかに以下のメンバーがいます。
※天台宗(密教・坐禅などを融合した仏教の宗派)系のお寺では、金剛夜叉明王の代わりに烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)がまつられます。
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五大明王(ごだいみょうおう)を簡単に 五大明王とは、不動ふどう明王を中心とする5体セットの明王。 一丸となって「ひねくれ者」を力ずくで導く。 五智如来ごちにょらいの生まれ変わりでもある。
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(2)そのほかの仲間
軍荼利明王は、金剛界の五智如来のメンバーである
の化身(生まれ変わり)とされています。
4.ご利益
5.有名な像とお寺
- 軍荼利明王立像/常楽院(埼玉)
- 軍荼利明王立像/金勝寺(滋賀)
- 五大明王のうち軍荼利明王立像/大覚寺・霊宝館(京都)
- 五大明王のうち軍荼利明王立像/醍醐寺(京都)
- 立体曼荼羅のうち軍荼利明王立像/東寺(京都)