五大明王(ごだいみょうおう)を簡単に
- 五大明王とは、不動明王を中心とする5体セットの明王。
- 一丸となって「ひねくれ者」を力ずくで導く。
- 五智如来の生まれ変わりでもある。
1.五大明王とは
五大明王(ごだいみょうおう)とは、不動明王を中心とする5体セットの明王。
明王とは、密教という教えの中で生み出された、恐ろしい姿をした仏のこと。
その中でもメインの5体を集めたチームを、五大明王といいます。
密教(みっきょう)とは
仏教とヒンズー教が融合して生まれた、不思議な宗教。
「真言」とよばれる呪文や、「護摩」とよばれる火をたく儀式などが特徴。
大日如来と一体になることによって、人は生きたまま仏になれると説いている(即身成仏)。
5体の怒りのパワーを集結させ、如来や菩薩が優しく教えを説いても聞かない「ひねくれ者」を力ずくで導きます。
五大明王には、目に見えない敵(災い、悪行など)を倒すという特技もあります。
そのため、平安時代(794~1185年)から国家を守る仏としてまつられてきました。
五大明王のメンバーと役割は、以下のとおり。
(各リンク先で、詳細を解説)
【五大明王のメンバー】
- 不動明王(ふどうみょうおう)
・・・五大明王のリーダー格。 - 降三世明王(ごうざんぜ――)
・・・「3つの毒」を滅ぼす明王。東の方角を守る。 - 軍荼利明王(ぐんだり――)
・・・迷いの心、災いを消滅させる明王。南の方角を守る。 - 大威徳明王(だいいとく――)
・・・あらゆる悪を倒す明王。西の方角を守る。 - 金剛夜叉明王(こんごうやしゃ――)※
・・・迷いの心を打ち砕く明王。北の方角を守る。
※天台宗(密教・坐禅などを融合した仏教の宗派)系のお寺では、金剛夜叉明王の代わりに烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)がまつられます。
お寺のお堂の中での配置は決まっており、不動明王を中心にして4体がそれぞれ東西南北に並びます。
※5体が一直線に並ぶケースもあります。
ひねくれ者を導くために、わざわざ恐ろしい姿に変身したのです。
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2.有名な像とお寺
- 五大明王像/瑞巌寺(宮城)
- 五大明王像/大覚寺・霊宝館(京都)
- 五大明王像/醍醐寺(京都)
- 立体曼荼羅のうち五大明王像/東寺(京都)
- 五大明王像/不退寺(奈良県奈良市)
五大力(ごだいりき)さん
桜の名所として知られる世界遺産の「醍醐寺」では、毎年2月23日に「五大力さん」とよばれる伝統行事が盛大に行われる。
男性は150kg、女性は90kgもの鏡餅を一人で持ち上げ、五大明王から授かった力を奉納する。