宝生如来とは | 仏像入門ドットコム

宝生如来

宝生如来（ほうしょうにょらい）を簡単に

1．宝生如来とは

宝生如来（ほうしょうにょらい）とは、「金剛界こんごうかい」という仏ほとけの世界の南側に住む如来。
宝勝如来と書くこともあります。

金剛界の中央には、宇宙の絶対王者である大日如来がどっしりと座っています。
そして、そのまわりを4体の如来が取り囲み、大日如来のはたらきをサポートします。

この大日如来を含めた5体セットを

金剛界の五智如来ごちにょらい

といい、そのうちの1体（大日如来の「南」に位置する仏）が宝生如来なのです。

宝生という名前には、「宝を生み出す者」という意味があります。
その名が示すように、宝生如来は人びとの願いにそってあらゆる宝物を授けるとされています。

仏像せんせい

宝生如来の生み出す宝には、物質的な宝物（財宝）だけでなく、精神的な宝物（心の幸せ）も含まれています。

宝生如来は、大日如来のもつ5つの智慧ちえのうちの「平等性智びょうどうしょうち」を受けもつ仏でもあります。
平等性智とはすべてのものが平等であることを知る智慧であり、この清らかな心を人びとに授ける役割も担います。

単独でまつられることはほぼ無く、通常は五智如来のうちの1体としてまつられます。

仏像せんせい

五重塔ごじゅうのとうの内部に安置されたり、立体曼荼羅の一部となったりすることもあります。

宝生如来坐像

ほかの如来と同様、納衣を一枚まとっただけの簡素な姿で表されます。

頭のてっぺんはコブのようにふくらみ（肉髻）、髪がくるくると丸まって（螺髪）、無表情な顔つき（半眼）をしています。
（おでこには本来、白毫がついている）

左手で衣の端をつかみ、右手で与願印を結びます。

背後では二重円光や宝珠光が輝き、蓮華座に乗ります。

両足を組んで座っている像（結跏趺坐）が一般的ですが、立っている像（正立像）も一部あります。

（先ほど書いたように）宝生如来は、金剛界の五智如来（こんごうかいのごちにょらい）のメンバーの一員です。

金剛界の五智如来には、宝生如来のほかに以下のメンバーがいます。

五大明王のメンバーである

は、宝生如来の化身けしん（生まれ変わり）とされています。