降三世明王(ごうざんぜみょうおう)を簡単に
- 降三世明王とは、人間のもつ「3つの毒」を滅ぼす明王。
- 両足で踏みつけた2体の神がトレードマーク。
- 五大明王のメンバーの一員。
1.降三世明王とは
降三世明王(ごうざんぜみょうおう)とは、人間のもつ「3つの毒」を滅ぼす明王。
降三世という名前には、「3つの世界(過去・現在・未来)を征服した」という意味があります。
その名が示すように、過去・現在・未来にはびこる三毒という煩悩(欲望や迷いの心)を滅ぼし、人びとを苦しみから解放します。
【三毒(さんどく)】
- 貪(とん)
・・・むさぼり(必要以上に求める心) - 瞋(じん)
・・・怒り、憎しみ - 痴(ち)
・・・無知(真理を知らない愚かさ)
降三世明王は、ヒンズー教の三大神の一つである大自在天と、その妻の烏摩を倒すために、地上におりてきました。
この2神は大日如来(宇宙を治める絶対王者)の教えに従わずに「自分たちが世界でもっともエラいのだ」と言ったため、それに怒った降三世明王に倒されたといわれています。
降三世明王は、ほかの宗教の神すら従わせる、とてもパワフルな仏です。
五大明王のメンバーとして、東の方角を守る役割も担います。
2.姿かたち
4つの顔と8本の腕をもつ、四面八臂(しめんはっぴ)の姿が一般的です。
(顔が3つの像や、腕が4本の像もある)
菩薩と同様、肩から斜めに条帛をかけ、瓔珞・臂釧などのアクセサリーを身につけています。
腰に巻きつけたスカートのようなものは、虎皮裙とよばれるトラの皮からつくられた布。
前後左右にある4つの顔は、いずれも怒りに満ちた忿怒相。
正面の顔のおでこには、第三の目がついています。
(8本の手のうち)真ん中2本の手は降三世印を結び、そのほかの手は羂索・金剛鈴・宝剣・宝戟・弓矢・ヘビなどを持ちます。
単独でまつられることは少なく、通常は五大明王のうちの1体としてまつられます。
3.降三世明王のなかま
(1)五大明王
(先ほど書いたように)降三世明王は、五大明王(ごだいみょうおう)とよばれる、5体セットの明王のメンバーの一員です。
五大明王には、降三世明王のほかに以下のメンバーがいます。
※天台宗(密教・坐禅などを融合した仏教の宗派)系のお寺では、金剛夜叉明王の代わりに烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)がまつられます。
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五大明王(ごだいみょうおう)を簡単に 五大明王とは、不動ふどう明王を中心とする5体セットの明王。 一丸となって「ひねくれ者」を力ずくで導く。 五智如来ごちにょらいの生まれ変わりでもある。
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(2)そのほかの仲間
降三世明王は、金剛界の五智如来のメンバーである
の化身(生まれ変わり)とされています。
4.ご利益
5.有名な像とお寺
- 降三世明王立像/明通寺(福井)
- 五大明王のうち降三世明王立像/大覚寺・霊宝館(京都)
- 五大明王のうち降三世明王立像/醍醐寺(京都)
- 立体曼荼羅のうち降三世明王立像/東寺(京都)
- 降三世明王坐像/金剛寺(大阪府河内長野市天野)