
不空羂索観音
不空羂索観音(ふくうけんさくかんのん)を簡単に
- 不空羂索観音とは、強力な縄で人びとを救い上げる観音さま。
- 国の平和を願って、奈良時代に多くつくられた。
- 六観音のメンバーの一員。
1.不空羂索観音とは
不空羂索観音(ふくうけんさくかんのん)とは、強力な縄で人びとを救い上げる観音さま。
鹿の皮でできた衣を身にまとっていることから、鹿皮観音(ろくひかんのん)ともよばれます。
不空羂索という名前には、次のような意味があります。
- 不空
・・・必ず成しとげる。 - 羂索
・・・人びとを救い上げるための「投げ縄」。
その名のとおり不空羂索観音は、カウボーイのように強力な投げ縄をヒュンと投げ、悩み苦しむ人びとを一人も漏らさずに救い上げます。
不空羂索観音は、大地震や疫病で混乱した奈良時代(710~794年)に登場。
奈良の大仏(=毘盧遮那仏)と同じように、国の平和と人びとの幸せを願ってつくられました。
2.姿かたち

不空羂索観音菩薩坐像
1つの顔と8本の腕をもつ、一面八臂(いちめんはっぴ)の姿が一般的です。
ほかの菩薩と同様、インドの貴族のような華やかな服装をしています。
頭には、化仏のついた宝冠をかぶる場合と、たくさんの小さな如来の顔がのる場合があります。
おでこには第三の目がついており、両目と合わせた3つの目で困っている人を探し出します。
真ん中の手は合掌し、そのほかの手は羂索に加えて蓮華・錫杖・宝剣・払子などを持ちます。
(そのほかの手は、与願印を結ぶこともある)
3.不空羂索観音のなかま
不空羂索観音は、六観音(ろくかんのん)とよばれる、6体セットの観音菩薩のメンバーに加わることがあります。
六観音には、以下のメンバーがいます。
※不空羂索観音が加わるのは天台宗(密教・坐禅などを融合した仏教の宗派)系のお寺のみであり、通常は准胝観音(じゅんていかんのん)がまつられます。
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4.ご利益
5.有名な像とお寺
- 不空羂索観音菩薩立像/広隆寺(京都)
- 不空羂索観音菩薩坐像/興福寺(奈良)
- 不空羂索観音菩薩立像/東大寺(奈良)
- 不空羂索観音菩薩坐像/不空院(奈良)
- 不空羂索観音菩薩立像/観世音寺(福岡)
三不空羂索観音
奈良の「興福寺」「東大寺」「不空院」の3体の像は、三不空羂索観音として知られている。