孔雀明王(くじゃくみょうおう)を簡単に
- 孔雀明王とは、あらゆる毒を消して安らぎをもたらす明王。
- もともとはインドの美しい女神であった。
- ザクロやレモンに似た果実を手に持ち、クジャクに乗る。
1.孔雀明王とは
孔雀明王(くじゃくみょうおう)とは、あらゆる毒を消して安らぎをもたらす明王。
明王でありながら菩薩のような優しい顔をしているため、仏母大孔雀明王(ぶつもだいくじゃくみょうおう)・孔雀王母菩薩(くじゃくおうぼぼさつ)などともよばれます。
インドの国鳥(国のシンボルである鳥)であるクジャクは、猛毒をもつコブラやサソリを食べることから、あらゆる毒を消し去る力があると信じられてきました。
そんな神聖なパワーをもつクジャクは、インドではマハーマーユーリーという女神として信仰され、のちに仏教に取り入れられて孔雀明王が誕生します。
このような歴史から、孔雀明王は三毒や病魔を消し去り、人びとに安らぎをもたらすとされています。
【三毒(さんどく)】
- 貪(とん)
・・・むさぼり(必要以上に求める心) - 瞋(じん)
・・・怒り、憎しみ - 痴(ち)
・・・無知(真理を知らない愚かさ)
孔雀明王は、密教の儀式「孔雀経法(くじゃくきょうほう)」の主役でもあり、奈良時代(710~794年)から雨ごいや厄よけの仏としてまつられてきました。
密教(みっきょう)とは
仏教とヒンズー教が融合して生まれた、不思議な宗教。
「真言」とよばれる呪文や、「護摩」とよばれる火をたく儀式などが特徴。
大日如来と一体になることによって、人は生きたまま仏になれると説いている(即身成仏)。
日本での仏像の作例は少なく、主に仏画(お寺の壁や掛け軸などに描かれた仏の絵)として残されています。
2.姿かたち
明王の中で唯一、菩薩のような美しい格好をしています。
1つの顔に4本の腕をもつ、一面四臂(いちめんしひ)の姿が一般的です。
宝冠をかぶり、優しい表情(慈悲相)を浮かべながら、クジャクの背負った蓮華座の上に結跏趺坐をして座ります。
背後では、大きく広げたクジャクの羽が光背となって輝いています。
4本の手は、それぞれ以下の道具を持ちます。
- 蓮華
- 吉祥果
・・・ザクロに似た果実。魔よけの意味をもつ。 - 倶縁果
・・・レモンに似た果実。人びとに幸せを授ける。 - クジャクの羽根
・・・災いをはらう。
3.孔雀明王のなかま
のメンバーの一員です。
二十八部衆においては、「金色孔雀王」という名前でよばれます。
4.ご利益
5.有名な像とお寺
- 孔雀明王坐像/正暦寺(奈良)
- 孔雀明王坐像/高野山霊宝館(和歌山)