「仏像とお釈迦さまは違うの?」
「何のためにつくられたの?」
私たちがお寺でよく目にする仏像。
その正体は、いったい何なのでしょうか?
1.仏像ってそもそも何?
仏像とは、そもそも
お釈迦さまという実在の人物をかたどった像
のこと。
お釈迦さまは紀元前5世紀ごろのインドの王子でしたが、人生に深く悩み、地位も財産も捨てて出家します。
そして、長く厳しい修行の末に「さとり」を得て、仏教を開きました。
さとりをカンタンに説明すると……
自分だとか世界だとかがどういうものであるかが、すっきりとわかって、もう悩まない……、そんな状態かなぁ。
山本勉『仏像のひみつ』朝日出版社、2006年
お釈迦さまはのちにインドの各地で教えを説き、多くの人びとを幸せへと導きます。
それから約千年後の6世紀ごろ、日本に仏教が伝わり、釈迦如来(お釈迦さまをかたどった仏像)がまつられるようになりました。
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釈迦如来(しゃかにょらい)を簡単に 釈迦如来とは、仏教を開いた実在の人物。 「お釈迦さま」として親しまれている。 衣を1枚まとっただけの、簡素な姿をしている。
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2.仏像がつくられるようになった理由
お釈迦さまが亡くなると、インドの各地にお釈迦さまをまつった大きなお墓(ストゥーパ)がいくつも建てられました。
やがて、お釈迦さまの姿を見たことのない人たちが「お釈迦さまの像をつくってほしい」と望むようになります。
ところが、お釈迦さまの姿を見た人たちは
「私たちのような凡人には、偉大なお釈迦さまの像はつくれない」
「お釈迦さまは“太陽”のようにありがたい方だ」
と言い、仏像をつくることを拒みました。
そこで、仏像の代わりに
- 輪宝(りんぽう)
・・・お釈迦さまを「太陽」として表したもの - 菩提樹(ぼだいじゅ)
・・・お釈迦さまが「さとり」を開いた場所に立っていた木 - 仏足石(ぶっそくせき)
・・・お釈迦さまの「足跡」を石に刻んだもの
などのお釈迦さまのシンボルマークが考え出され、人びとはこれらを拝むようになります。
人びとはそれでも満足できず、「お釈迦さまの姿を見たい」という声が高まります。
そして、(お釈迦さまが亡くなってから約500年後の)1世紀ごろ、インド北部にある「ガンダーラ」と「マトゥラー」の2つの地域で、ついに仏像が誕生しました。
3.たくさんの仏像がいる理由
仏教が広まるにつれて、お釈迦さまの教えとは別に、さまざまなお話が生み出されます。
これらの仏教のお話を書き記したものを「お経」といい、お経の主人公としてさまざまな仏像が考え出されました。
たとえば、
というふうに。
数多くある仏像は次の4つのグループに大きく分けられ、これらのグループが集まって仏の世界ができています。
- 如来(にょらい)
- 菩薩(ぼさつ)
- 明王(みょうおう)
- 天部(てんぶ)
それぞれのグループの特徴については、以下のリンク先をご覧ください。
解説は、以上です。