布袋尊(ほていそん)を簡単に
- 布袋尊とは、人びとに幸せを分け与える福の神。
- さまざまな恵みの入った「頭陀袋」がトレードマーク。
- 七福神のメンバーの一員。
1.布袋尊(布袋様)とは
布袋尊(ほていそん)とは、人びとに幸せを分け与える福の神。
七福神のうちの布袋様として親しまれています。
布袋尊は、中国の唐時代(618~907年)に実在した契此(かいし)という名のお坊さんがモデルになっています。
(布袋という名前は、契此がいつも大きな布の袋をかついでいたことに由来)
生涯にわたって中国の各地を放浪していた契此は、いつもニコニコした笑顔で人びとに接する、心豊かで楽天的な人物であったそうです。
お布施(仏教の信者がお坊さんにお金や品物を提供すること)でもらった生活必需品を大きな袋に入れて持ち歩き、必要な人に分け与えていたと言い伝えられています。
契此には未来のできごとや天気を予知するという不思議な能力もあり、最後は仙人(=布袋尊)になったそうです。
布袋尊はのちに日本に伝わり、江戸時代(1603~1868年)以降、七福神のメンバーに名を連ねるようになります。
いかにも楽しそうで幸福オーラに満ちた布袋尊は、福徳円満(幸せいっぱいで、心もお金も豊かであること)の神さまとして、今でも大きな人気を集めています。
モノの豊かさだけでなく「心の豊かさ」も大切であると、私たちに教えてくれています。
2.姿かたち
布袋尊はお坊さんをモデルとしているため、頭をそり、(ゆったりとした)袈裟を身にまといます。
耳たぶは大きく(福耳)、おなかは力士のように丸くふくらんでいます(太鼓腹)。
トレードマークである頭陀袋をかつぎ、中国風のうちわを手に持ちます。
(うちわを持たずに手をひざの上に置いたり、前方を指さしたりしている像もある)
3.布袋尊のなかま
(1)七福神
(先ほど書いたように)布袋尊は、福の神として知られる七福神(しちふくじん)のメンバーの一員です。
七福神には、布袋尊のほかに以下のメンバーがいます。
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(2)そのほかの仲間
布袋尊は、はるか遠い未来に
に生まれ変わってこの世におりてくるとされています。
4.ご利益
福徳円満(幸せいっぱいで、心もお金も豊かであること)というオールマイティーな恵みをもたらす布袋尊には、
などのご利益があるといわれています。
5.有名な像とお寺
- 布袋尊坐像[ひぐらしの布袋]/修性院(東京)
- 布袋尊立像/浄智寺(神奈川)
- 布袋尊坐像/萬福寺(京都府宇治市)
- 布袋尊坐像[乳布袋尊]/四天王寺(大阪)
- 布袋尊坐像/護国寺(兵庫)
授乳のご利益のある布袋さん
大阪の中心地に広大な境内をもつ「四天王寺」の布袋堂には、かつて聖徳太子の乳母(母の代わりに子育てをする女性)が住んでいたという。
そのため、このお堂にまつられている布袋尊坐像は「乳布袋尊」とよばれ、授乳のご利益をもたらしたり、乳がん・乳腺症などの病気の悩みを聞いたりするとされている。