鬼子母神(きしもじん)を簡単に
- 鬼子母神とは、子どもを守る優しい女神。
- もともとは恐ろしい人食い鬼であった。
- 左手に子を抱き、右手にザクロに似た果実を持つ。
1.鬼子母神(訶梨帝母)とは
鬼子母神(きしもじん)とは、子どもを守る優しい女神。
古代インドではハーリティーという名でよばれていたことから、その発音を漢字に置きかえて訶梨帝母(かりていも)ともよびます。
名前に「鬼」とあるのは、もともとは恐ろしい人食い鬼であったため。
鬼子母神はたくさんの子ども(500人とも1000人ともいわれる)をもつ母親でしたが、子育ての体力づくりのために人間の子をさらって食べていました。
それを見かねたお釈迦さまが鬼子母神の末っ子の嬪伽羅を隠したところ、彼女はパニックになって捜しまわります。
釈迦は彼女に「子どもを失った親がどれほど悲しかったことか。人の子をさらって食べるのはやめなさい」と説教し、末っ子を返してやりました。
それから鬼子母神はすっかり心を入れ替え、これまでとは正反対の子どもの守り神へと生まれ変わりました。
子だくさんという性格から、子宝・安産・子育てのご利益をもたらす神さまとして、人びとから慕われるようになります。
なお、鬼子母神をまつるお寺では、「鬼」の字を表記する際、一画目の点が無い特殊な漢字を使うことがあります。
この点が無い漢字については
- ツノがとれた鬼を表している。
- もともと鬼の字には点がついていなかった。
という2つの説がありますが、いずれにせよ「良い神さま」となった鬼を意味する字であるとされています。
2.姿かたち
もともと恐ろしい鬼であったとは思えない、優しい母の姿で表されます。
貴人服を身にまとい、慈しみに満ちた表情を浮かべています。
左手に末っ子の嬪伽羅を抱き、右手で吉祥果(ザクロに似た果実)を持ちます。
立っている像(正立像)、台に腰かけている像(倚像)、べったりと座っている像(坐像)などがあります。
3.鬼子母神のなかま
鬼子母神には、以下の家族がいます。
のメンバーの一員でもあります。
二十八部衆においては、「神母天」という名前でよばれます。
4.ご利益
5.有名な像とお寺
- 鬼子母神立像/法華経寺[中山鬼子母神※](千葉)
- 鬼子母神像/真源寺[入谷鬼子母神※](東京)
- 鬼子母神立像/法明寺[雑司が谷鬼子母神堂※](東京)
- 鬼子母神倚像/園城寺[三井寺](滋賀)
- 鬼子母神坐像/東大寺(奈良)
※「鬼」の字は、一画目の点が無い特殊な漢字。
江戸三大鬼子母神
「法華経寺」「真源寺」「法明寺」の3つのお寺は、江戸三大鬼子母神として知られている。