大黒天(だいこくてん)を簡単に
- 大黒天とは、「打ち出の小槌」で財宝をもたらす神さま。
- 大きな福袋をかつぎ、米俵に乗る。
- 七福神のメンバーの一員。
1.大黒天(大黒様)とは
大黒天(だいこくてん)とは、「打ち出の小槌」で財宝をもたらす神さま。
七福神のうちの大黒様として親しまれています。
大黒天は、もともとはマハーカーラという名のインドの暗黒の神さまであり、人びとから恐れられていました。
マハーカーラはヒンズー教の三大神の一つである「シバ神」が変身した姿であり、多くの腕をもち、暗黒のパワーで世界のすべてを破壊します。
このように、大黒天は恐ろしい神さまでしたが、のちに日本古来の神さまである大国主命(おおくにぬしのみこと)と合体し、おめでたい福の神へと生まれ変わります。
大国主命は『因幡の白兎』の神話に登場することで知られ、サンタクロースのように大きな袋をかついでいます。
大黒天が大国主命と結びついたのには、
- 「大黒(だいこく)」と「大国(だいこく)」の発音が同じ。
- 大きな袋を背負った姿が似ている。
という2つの説があります。
大黒天は「打ち出の小槌」とよばれるラッキーアイテムを手に持ち、福を呼び込んで五穀豊穣や商売繁盛などのご利益をもたらします。
室町時代(1336~1573年)以降は、七福神のメンバーに名を連ねるようになり、今でも「商売繁盛の神さま」としてお店にまつられているのをよく見かけます。
2.姿かたち
(1)一般的な像
丸い形をした大黒頭巾をかぶり、にっこり笑っています。
右手には、振ると金銀財宝がザクザク出てくる打ち出の小槌を持ちます。
(欲しい物を何でも授けてくれるとも)
左肩にかついだ大きな福袋には、「7つの宝」が入っています。
7つの宝とは
「金」「銀」「瑠璃」「水晶」「シャコ」「赤珠」「メノウ」の7種類の宝石(物質的な宝物)
「繁栄」「裕福」「勇気」「愛嬌」「人望」「長寿」「円満」という、喜びにあふれた7つの心(精神的な宝物)ともいわれる。
さらに、五穀豊穣のシンボルである米俵に乗っており、立っている像(立像)と座っている像(坐像)があります。
(米俵に乗っていない像も一部ある)
(2)三面大黒天
大黒天の別バージョンとして、同じ七福神のメンバーである毘沙門天・弁財天と合体した三面大黒天(さんめんだいこくてん)があります。
強力な福のパワーをもつ3者が一体となり、それぞれのご利益を一気にもたらします。
なかでも、商売繁盛・出世・勝負運などのご利益が強いといわれています。
(上のイラストのように)向かって右に毘沙門天、向かって左に弁財天の顔がくっついています。
また、顔だけでなく3者の全身が合体した三面六臂大黒天(さんめんろっぴだいこくてん)もあります。
(六臂とは、腕が6本あるという意味)
3.大黒天のなかま
(先ほど書いたように)大黒天は、福の神として知られる七福神(しちふくじん)のメンバーの一員です。
七福神には、大黒天のほかに以下のメンバーがいます。
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4.ご利益
5.有名な像とお寺
- 三面大黒天立像/大圓寺[大黒寺](東京都)
- 三面大黒天立像[三面出世大黒天]/延暦寺・大黒堂(滋賀)
- 大黒天半跏像/明寿院(滋賀)
- 大黒天立像/大黒寺・七福堂(大阪)
- 大黒天立像/観世音寺(福岡)
豊臣秀吉の大黒天
100年以上も内乱の続いた“戦国”という時代を終わらせ、天下統一を成しとげて大きく出世した豊臣秀吉。
その秀吉があがめていたのが「延暦寺・大黒堂」の三面大黒天立像であり、「三面出世大黒天」とよばれている。