深沙大将(じんじゃたいしょう)を簡単に
- 深沙大将とは、砂漠に突然現れた「お経の守り神」。
- インドの砂漠で、玄奘というお坊さんの命を救った。
- ドクロの首飾りやヘビを巻きつけた、恐ろしい鬼の姿をしている。
1.深沙大将(深沙大王)とは
深沙大将(じんじゃたいしょう)とは、砂漠に突然現れた「お経の守り神」。
深沙大王(じんじゃだいおう)ともよばれます。
まず初めに、孫悟空たちが活躍する『西遊記』の主人公である三蔵法師は、玄奘という実在したお坊さんがモデルになっています。
西遊記(さいゆうき)とは
中国のお坊さんである三蔵法師(玄奘)が、孫悟空・猪八戒・沙悟浄とともに砂漠を超えてインドへ渡り、命がけでたくさんのお経を持ち帰るという壮大な冒険ストーリー
その玄奘がお経を求めてインドを旅していたところ、何日間も砂漠で水を飲むことができず、倒れてしまいます。
玄奘が今にも息絶えようとしていたそのとき、深沙大将が砂の中から突然現れ、玄奘の命を救ったといいます。
深沙大将に助け出された玄奘は、その後、『般若経』をはじめとする膨大な数のお経(1000巻以上)を無事中国に持ち帰りました。
般若経(はんにゃきょう)とは
「空」の哲学(この世のすべては幻であること)を説いたお経。
有名な『般若心経』から、600巻におよぶ『大般若経』まで、42種類ある。
深沙大将はのちに日本に伝わり、「般若経の守り神」「旅人の守り神」「水の神」として全国各地のお寺にまつられるようになります。
深沙大将は仏像としてまつられるだけでなく、「十六善神図」という絵画にも登場します。
この絵画には、般若経を守る16体の神さまや玄奘とともに、深沙大将の姿が描かれています。
2.姿かたち
見る者を圧倒する迫力と不気味さをもつ、恐ろしい鬼の姿で表されます。
髪は逆立ち(炎髪)、顔は怒りに満ちた忿怒相。
何かを叫んでいるように、口を大きく開いています。
7つのドクロが連なる瓔珞を首からさげ、腕にはヘビが巻きつき、ひざ部分にゾウの頭がついた裙をまとっています。
さらに、おなかには人間の顔が浮かんでいます。
体の周囲では天衣がなびき、波をかたどった台座の上に足を大きく開いて立ちます。
- 7つのドクロ
・・・玄奘が7度生まれ変わった際の、それぞれの頭蓋骨 - ゾウの頭
・・・深沙大将の力強さのシンボル - 人間の顔
・・・深沙大将のもう一つの姿
このほかにも、さまざまな解釈があります。
3.深沙大将のなかま
深沙大将の生い立ちにはいくつかの説があり、
などの化身(生まれ変わり)とされています。
4.ご利益
5.有名な像とお寺
- 深沙大王立像/深大寺(東京)
- 深沙大将立像/明通寺(福井)
- 深沙大将立像/横蔵寺(岐阜)
- 深沙大将立像/金剛院(京都府舞鶴市)
- 深沙大将立像/高野山霊宝館(和歌山)
- 深沙大将倚像/弥谷寺(香川)
深沙大将のお寺
湧き水に囲まれた境内と“深大寺そば”で知られる「深大寺」は、深沙大王がお寺の名前の由来となっている。
毎年10月には、秘仏・深沙大王立像の前で『大般若経』が読み上げられる。