蔵王権現(ざおうごんげん)を簡単に
- 蔵王権現とは、過去・現在・未来にわたって人びとを救う神さま。
- 「釈迦如来」「千手観音」「弥勒菩薩」の生まれ変わりでもある。
- 荒ぶる表情と、躍動感あふれるポースが特徴。
1.蔵王権現とは
蔵王権現(ざおうごんげん)とは、過去・現在・未来にわたって人びとを救う神さま。
正式な名前を、金剛蔵王権現(こんごうざおうごんげん)といいます。
山での厳しい修行によって心身を磨き上げる、「修験道」という教え。
飛鳥時代(592~710年)、修験道を開いた役行者が金峯山(奈良県の吉野にそびえ立つ険しい山々)で修行をしているときに出会ったのが、蔵王権現です。
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役行者(えんのぎょうじゃ)を簡単に 役行者とは、さまざまな呪術で人びとを救った超能力者。 山々を駆け巡って「修験道しゅげんどう」という教えを開いた。 仙人のように空を飛び、多くの伝説を残す。
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役行者が「人びとを救ってくださる力強い仏よ、どうか姿を現したまえ」と祈ったところ、
の3つの仏が次々と現れました。
ところが、この3体は穏やかな姿をしているため、役行者は「人びとを救うには優しすぎる」と受け入れませんでした。
役行者がさらに祈り続けると、大地が揺れて雷が鳴り響き、大きな岩の割れ目から蔵王権現が飛び出してきたのです。
化け物のような荒っぽい姿をした蔵王権現を目にした役行者は、「これならば人びとを救える」と納得し、その姿を木に彫ってまつったといいます。
この逸話から、蔵王権現は「釈迦如来」「千手観音」「弥勒菩薩」の化身(生まれ変わり)とされ、六道輪廻に苦しむ人びとを過去・現在・未来にわたって救い出します。
蔵王権現は、
- 過去への後悔
- 現在への執着
- 未来への不安
をまとめて取り除いてくれる、オールマイティーな神さまなのです。
蔵王権現は、山の修行者たちの守り神でもあり、修験道にゆかりのある日本各地の山寺で見ることができます。
2.姿かたち
右手・右足を高く上げた躍動感あふれるポーズは、大きな岩の割れ目から飛び出してきた瞬間をとらえたもの。
肌は「慈悲」(優しさ)を表す青色に染まっています。
強烈なパワーで人びとを救うことから、髪は逆立ち(炎髪)、顔は怒りに満ちた忿怒相をしています。
(おでこには、第三の目がついている)
右手は三鈷杵を持つことがあり、左手は刀印を結んだり腰に当てたりします。
3.ご利益
4.有名な像とお寺(神社)
- 蔵王権現立像/刈田嶺神社[蔵王大権現](山形)
- 蔵王権現三尊像/金峯山寺(奈良)
- 蔵王権現立像/如意輪寺(奈良)
- 蔵王権現立像/三佛寺(鳥取)