青面金剛(しょうめんこんごう)を簡単に
- 青面金剛とは、病魔や悪霊を力ずくで追いはらう神さま。
- 「庚申信仰」という不思議な教えの中で生まれた。
- 体中にヘビを巻きつけた、恐ろしい姿をしている。
1.青面金剛とは
青面金剛(しょうめんこんごう)とは、病魔や悪霊を力ずくで追いはらう神さま。
青面金剛は、「庚申信仰」という(道教をベースにした)不思議な教えの中で生まれました。
道教(どうきょう)とは
古代中国で生まれた、多くの神々をあがめる宗教。
不老長寿を願う神仙思想、呪術、風水、易学などのさまざまな哲学や技術からなる。
庚申信仰においては、人間の体内には三尸とよばれる虫が住んでいるとされています。
三尸は
- 上尸(じょうし)
・・・頭の中に住み、首から上の病気を引き起こしたり、大食いをさせようとしたりする。 - 中尸(ちゅうし)
・・・おなかの中に住み、内臓の病気を引き起こす。 - 下尸(げし)
・・・足の中に住み、下半身の病気を引き起こす。
という3匹の虫からなり、人間の体にさまざまな異変をもたらします。
ふだんは人間の体内に閉じこめられていますが、60日に1回巡ってくる庚申の日の夜だけ、寝ている人間の体から抜け出し、その人の悪行を閻魔大王に報告して寿命を短くしてもらうといわれています。
三尸は、人間が死ぬと体の外に出て自由になれるため、寿命を縮めようとたくらんでいるのです。
人間は寿命を縮められては困るため、三尸を体から出さないよう徹夜をする庚申講(こうしんこう)という風習が生まれました。
庚申講は平安時代(794~1185年)に貴族に広まり、江戸時代(1603~1868年)になると庶民の間でも流行し、やがて夜通しの宴会へと変化していきます。
この庚申信仰の中で生まれた神さまが青面金剛であり、三尸が体から出ないよう力ずくでおさえたり、病魔や悪霊を追いはらったりする役割があります。
また、青面金剛は、五大明王のメンバーである金剛夜叉明王と同じものとみなされることから、青面金剛明王(しょうめんこんごうみょうおう)ともよばれます。
江戸時代には、青面金剛をまつるために「庚申塔」とよばれる石塔が道ばたに多く建てられ、今でも日本各地に残っています。
(庚申塔には、青面金剛の姿や“庚申”の文字が刻まれている)
2.姿かたち
青面金剛は金剛夜叉明王と同じものとみなされることから、その姿かたちは金剛夜叉明王に似ています。
1つの顔と6本の腕をもつ、一面六臂(いちめんろっぴ)の姿が一般的。
青面という名のとおり、肌は青色に染まっています。
肩から斜めに条帛をかけ、腰には虎皮裙とよばれるトラの皮からつくられた布をまとい、首・腕・足首などにヘビを巻きつけています。
(ドクロの首飾りをさげている像もある)
髪は逆立ち(炎髪)、顔は怒りに満ちた忿怒相。
おでこには、第三の目がついています。
6本の手は、法輪・羂索・宝剣・宝戟・弓矢などを持ちます。
手に人間の女性をぶらさげている像もあります。
青面金剛には「病魔や悪霊を力ずくで追いはらう」という役割があるため、このように恐ろしい姿をしているのです。
3.青面金剛のなかま
(先ほど書いたように)青面金剛は、五大明王のメンバーである
と同じものとみなされることがあります。
また、仏教の守り神である
の使いであるともいわれています。
4.ご利益
5.有名な像とお寺
- 青面金剛立像/長寿寺(岩手県二戸市)
- 青面金剛立像/崇蓮寺(埼玉)
- 青面金剛立像/深大寺(東京)
- 青面金剛立像/正眼寺(京都)
- 青面金剛立像/東大寺(奈良)
※東京国立博物館に寄託(2024年7月現在) - 青面金剛立像/福禅寺(広島)