閻魔王(えんまおう)を簡単に
- 閻魔王とは、死者の罪を裁く「あの世の裁判官」。
- 天国から地獄まで、死者の行き先を決定する。
- 真っ赤な顔をし、こちらを鋭くにらむ。
1.閻魔王(閻魔大王)とは
閻魔王(えんまおう)とは、死者の罪を裁く「あの世の裁判官」。
閻魔大王(えんまだいおう)ともいい、親しみを込めて閻魔さまともよばれます。
閻魔王は、もともとはヤマという名のインドの神さまであり、冥界(死後の世界)を支配する王として信仰されていました。
仏教に取り入れられてからは「閻魔王」とよばれ、あの世の裁判官として死者の罪を裁く役割を担うようになります。
閻魔王は死者のこの世での行いをすべて記録しており、六道という6つの世界(天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道)のどこに生まれ変わるのかを決定します。
閻魔王のそばには浄玻璃鏡とよばれる大きな鏡があり、死者の人生のすべてのシーンが映画のように映し出されます。
そのため、「私はやっていません」とウソをついても、すぐにバレてしまいます。
(この世での裁判が1度目の出廷、2度目の出廷……とあるように)あの世での裁判も何回かに分かれており、閻魔王を含む10体の裁判官(=十王)が死者を裁きます。
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十王(じゅうおう)を簡単に 十王とは、あの世で死者を裁く「10体の裁判官」。 それぞれのメンバーが、10回にわたって死者を取り調べる。 中国風の裁判官のような格好をしている。
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閻魔王には恐ろしいイメージがありますが、じつは地蔵菩薩の化身(生まれ変わり)であり、この世では人びとを優しく見守っています。
2.姿かたち
ゆったりとした道服を身にまとった、中国・唐時代の裁判官の姿で表されます。
真っ赤な顔をして両目をカッと見開き、どのような悪事でも見抜きます。
右手に笏とよばれる細長い木の板を持ち、威厳を示しています。
(笏はメモを貼りつけるためのボードとして使われるとも)
左手はひざの上に置いたり、小さな地蔵菩薩の像を持ったりします。
3.閻魔王のなかま
(先ほど書いたように)閻魔王は、あの世の10体の裁判官である
のメンバーの一員です。
また、閻魔王は
の化身(生まれ変わり)とされています。
4.ご利益
5.有名な像とお寺
- 閻魔王坐像/法乗院[深川ゑんま堂](東京)
- 十王のうち閻魔王坐像/円応寺[閻魔堂](神奈川)
- 閻魔王坐像/引接寺[千本ゑんま堂](京都)
- 閻魔王坐像/宝積寺(京都)
- 閻魔王坐像/六道珍皇寺(京都)
- 閻魔王坐像/白毫寺(奈良)
日本一ビッグな閻魔王像
東京の下町・深川にたたずむ「法乗院」の閻魔王坐像(総高3.5メートル)は、日本最大の閻魔王像として有名。
“ハイテク閻魔さま”としても知られ、さい銭を入れるとお堂内のライトがピカピカと点滅し、閻魔大王のありがたい説法が流れてくる。
冥界へとつながるお寺
六道さんの名で親しまれる「六道珍皇寺」には、“冥土通いの井戸”とよばれる不思議な井戸がある。
平安時代の朝廷の役人であった小野篁は、夜になるとこの井戸から冥界へワープし、閻魔王のもとで裁判の助手をしていたという。