歓喜天(かんぎてん)を簡単に
- 歓喜天とは、頭が「ゾウ」で体が「人間」という風変わりな神さま。
- 商売繁盛や夫婦円満をもたらす。
- 仲むつまじい男女が抱き合う姿をしている。
1.歓喜天(聖天さま)とは
歓喜天(かんぎてん)とは、頭が「ゾウ」で体が「人間」という風変わりな神さま。
正式な名前を大聖歓喜大自在天(だいしょうかんぎだいじざいてん)といい、親しみを込めて聖天さまともよばれます。
ゾウの頭をもつ男女の2体が抱き合う姿をし、男天はガネーシャ、女天は十一面観音の化身(生まれ変わり)とされています。
ガネーシャとは
幸せを呼びこむインドの神さまであり、商売と学問をつかさどる。
頭がゾウで、ふくよかな人間の体に4本の腕をもつ。
「夢をかなえるゾウ」として知られ、その愛らしい姿から世界中で人気を集める。
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男天(ガネーシャ)はのちに仏教に取り入れられると、毘那夜迦という悪い神さまになります。
お釈迦さまや修行者の邪魔をしていた毘那夜迦は、女天(十一面観音)のことが好きになって告白しました。
女天が「仏教を信じるのならば、一緒になってもよい」と言ったため、男天は心を入れ替え、仏教の守り神へと生まれ変わります。
そして、この男天と女天が合体し、歓喜天が誕生しました。
「巾着」と「大根」は歓喜天のシンボル(好物)であり、次のような意味があるとされています。
- 巾着(財布)
・・・商売繁盛のシンボル - 大根
・・・身体健全、厄よけのシンボル
このことから、歓喜天をまつるお寺のいたるところ(屋根・ちょうちん・石段など)に巾着や大根のマークが刻まれていたり、「歓喜団」(果物やスパイスを練ってつくった巾着型の団子)や「二股大根」が供えられたりしています。
仲むつまじい男女が合体した歓喜天は、夫婦円満・子宝をもたらすとされています。
さらに、ガネーシャの性格を受けついだり、巾着や大根を好んだりすることから、商売繁盛・学業成就・身体健全・厄よけなどのご利益もあるといわれています。
歓喜天は男女が抱き合うセクシャルな姿をしているため、その多くは秘仏として隠されています。
2.姿かたち
ゾウの頭と人間の体をもつ「男女の2体」が立って抱き合う姿で表されます。
2体とも腰に裙をまとい、臂釧・腕釧・足釧などのアクセサリーを身につけています。
この2体は姿かたちがよく似ていますが、見分けるポイントは次の2つ。
- 冠
・・・冠を身についている方が、女天。 - 踏みつけた足
・・・相手の足を踏みつけている方が、女天。
女天は、イノシシの顔をしていることもあります。
3.歓喜天のなかま
(先ほど書いたように)歓喜天の女天は、
の化身(生まれ変わり)とされています。
また、歓喜天には、以下の家族がいます。
4.ご利益
5.有名な像とお寺
- 歓喜天立像/歓喜院[妻沼聖天山](埼玉)
- 歓喜天立像/本龍院[待乳山聖天](東京)
- 歓喜天立像/宝戒寺(神奈川)
- 歓喜天立像/宝山寺[生駒聖天](奈良)
- 歓喜天立像/八栗寺(香川)
日本三大聖天
「妻沼聖天山」「待乳山聖天」「生駒聖天」の3つのお寺は、日本三大聖天として知られている。