
初詣、七五三、神社・お寺の縁日、秋祭り、すす払い……
日本には季節ごとにさまざまな行事があり、神さまや仏さまに幸せを願ったり、地域の人たちが集まってお祭りを行ったりします。
このように、「神」や「仏」は私たちにとってなじみ深いものですが、その違いはいったい何なのでしょうか?
「神と仏の違いがはっきりわからない」
「ほかのサイトを見たけど、わかったようでわからない」
など、いまいちスッキリしない人も多いのでは。
 
		このページでは
- 神とは何か
- 仏とは何か
- 役割・見た目などの違い
をイラストでやさしく解説し、「神と仏の違い」のモヤモヤを解いていきます。
1.神とは
世界中には
- キリスト教の神
- ギリシア神話の神
- インドの神
- etc…
などのいろいろな神さまがいますが、ここでは日本の神さまについて解説します。
(1)神とは何か
日本には古くから
すべてのものには魂が宿る
という考え(アニミズム)があり、
- 山
- 川
- 太陽
- 海
などの自然のものを神さまとしてあがめてきました。

自然と神
これらの自然に宿る神さまを信じる宗教を「神道」といい、神道をあつかう神社にはご神体がまつられています。
ご神体とは神が宿る物体のことであり、
- 石、岩、木などの自然物
- 鏡、まが玉、剣などの人工物
などの種類があります。

ご神体
そして、昔から日本人の多くは、神社で神さまに祈ったり、豊作に感謝してお祭りを行ったりしてきました。
つまり、神とは
世界のあらゆるものに宿る、偉大な自然の力
であり、
- 私たち人間の「心のよりどころ」となる。
- 人びとに「自然の恵み」(豊作・大漁など)をもたらす。
などのはたらきをします。
 
		それが、神さまなのです。
(2)神の種類
もともとは「偉大な自然の力」を神さまとして信仰していましたが、時代が進むにつれて、さまざまな神さまが生まれました。
日本の神さまには、以下の種類があります。
A.本来の神

本来の神
自然現象や生命などの世界のあらゆるものに宿る、偉大な自然の力。
B.日本神話の神

天照大御神
世界中の神話の一つである「日本神話」の神さまたち。
『古事記』『日本書紀』などの歴史書に登場します。
- 天照大御神
- 大国主命
- 倭建命
- etc…
など、180種類ほどの神さまがおり、この世界を治めていると考えられています。
C.人びとの生活に関わる神

稲荷神
農業・海の安全・厄よけなど、人びとの生活に関わる神さま。
- 稲荷神(お稲荷さん)
 ・・・豊作や商売繁盛をもたらす神
- 秋葉権現
 ・・・火事から人びとを守る神
- 氷川神
 ・・・水の神
- 金毘羅権現(こんぴらさん)
 ・・・海の安全を守る神
- 愛宕さま
 ・・・厄よけの神
- 淡島さま
 ・・・婦人病の神
- 道祖神
 ・・・病気や悪霊を防ぐ神
- 座敷童
 ・・・家の守り神
D.人間が神になったもの

菅原道真
昔の人たちは、偉大な功績を残したヒーローを神としてあがめたり、怨霊(恨みを残して死んでいった人の魂)をまつったりしてきました。
| 時代 | 人物 | 神社 | 
|---|---|---|
| 平安 | 菅原道真 | 天満宮 | 
| 平将門 | 国王神社、神田明神ほか | |
| 崇徳天皇 | 白峰神社 | |
| 鎌倉 | 源頼朝 | 白旗神社 | 
| 源義経 | 白旗神社、義経神社 | |
| 室町 | 徳川家康 | 東照宮 | 
| 織田信長 | 建勲神社 | |
| 豊臣秀吉 | 豊国神社 | |
| 武田信玄 | 武田神社 | |
| 上杉謙信 | 上杉神社 | |
| 伊達政宗 | 青葉神社 | |
| 江戸 | 西郷隆盛 | 南州神社 | 
| 坂本龍馬 | 京都霊山護国神社 | |
| 明治 | 東郷平八郎 | 東郷神社 | 
E.そのほかの神

七福神
- 八幡神(八幡さん)
 ・・・武士の守り神
- 浅間大神
 ・・・富士山を神としてあがめたもの
- ダイダラボッチ
 ・・・巨人の姿をした山の神
- 七福神
 ・・・幸せをもたらす福の神
 
		2.仏とは
(1)仏とは何か
「仏の顔も三度まで」
「知らぬが仏」
などのことわざでも知られる仏は、お釈迦さまという実在の人物がモデルになっています。

お釈迦さま
お釈迦さまは紀元前5世紀ごろのインドの王子でしたが、人生に深く悩み、地位も財産も捨てて出家します。
そして、長く厳しい修行の末に「さとり」を得て、仏教を開きました。
さとりをカンタンに説明すると……
自分だとか世界だとかがどういうものであるかが、すっきりとわかって、もう悩まない……、そんな状態かなぁ。
山本勉『仏像のひみつ』朝日出版社、2006年
お釈迦さまはのちにインドの各地で教えを説き、多くの人びとを幸せへと導きます。
それから約千年後の6世紀ごろ、日本に仏教が伝わり、釈迦如来(お釈迦さまをかたどった仏像)がまつられるようになりました。
- 
																								  
- 
															あわせて読みたい釈迦如来(お釈迦さま)とは | 仏像入門ドットコム釈迦如来(しゃかにょらい)を簡単に 釈迦如来とは、仏教を開いた実在の人物。 「お釈迦さま」として親しまれている。 衣を1枚まとっただけの、簡素な姿をしている。 続きを見る 
つまり、仏とは
自力で「さとり」を開いた者
であり、
- 私たち人間の「究極の目標」となる。
- 仏教で人びとを「幸せ」へと導く。
などのはたらきをします。
 
		(2)仏の種類
仏教が広まるにつれて、お釈迦さまの教えとは別に、さまざまなお話が生み出されます。
これらの仏教のお話を書き記したものを「お経」といい、お経の主人公としてさまざまな仏が考え出されました。
たとえば、
というふうに。
 
		仏の種類(グループ)
- 如来(にょらい)
 ・・・さとりを開いた者(本来の仏)
- 菩薩(ぼさつ)
 ・・・さとりをめざして修行中の者
- 明王(みょうおう)
 ・・・如来が「恐ろしい姿」に変身した者
- 天部(てんぶ)
 ・・・仏の世界を守るガードマン
これらの仏をかたどったものが「仏像」であり、日本各地のお寺にまつられています。

仏像
3.神と仏の違いまとめ
 
		| 神 | 仏 | |
|---|---|---|
| 意味 | 
 | 
 | 
| 役割 | 
 | 
 | 
| 姿かたち | 石、鏡、動物、人間、巨人など | 仏像 | 
解説は、以上です。

 
  
  
 