誕生仏(たんじょうぶつ)を簡単に
- 誕生仏とは、お釈迦さまが生まれたときの姿を表した仏像。
- 右手で天、左手で地をさしている。
- 釈迦の誕生を祝う「花祭り」に登場する。
1.誕生仏とは
誕生仏(たんじょうぶつ)とは、お釈迦さまが生まれたときの姿を表した仏像。
のちに仏教を開いたお釈迦さまは、母親の摩耶夫人が里帰りをしている途中、小さな村の花園の近くで生まれました。
その生まれ方はとても不思議で、摩耶夫人の右わきの下から突然姿を現します(男児として産まれる)。
釈迦はすぐに一歩、二歩、三歩……と勇ましく歩き、七歩目で立ち止まります。
そして、右手で天、左手で地をさして「天上天下、唯我独尊」と言ったそうです。
「天上天下、唯我独尊」とは
人はみんな、かけがえのない大切な存在であるという意味。
「いつか必ず人びとのために教えを説こう」という釈迦の意志の表れとも。
このときの姿を仏像で表したものが、誕生仏です。
あわせて読みたい釈迦如来(お釈迦さま)とは | 仏像入門ドットコム
釈迦如来(しゃかにょらい)を簡単に 釈迦如来とは、仏教を開いた実在の人物。 「お釈迦さま」として親しまれている。 衣を1枚まとっただけの、簡素な姿をしている。
続きを見る
2.姿かたち
右手で天、左手で地をさした、幼い子どもの姿で表されます。
大きさは30センチ前後と、ほかの仏像よりも小さく、主に「金」や「銅」などでつくられます。
3.誕生仏と花祭り
毎年4月8日にお寺で行われる、お釈迦さまの誕生日を祝う行事を、花祭り(はなまつり)といいます。
花で飾った小さなお堂に誕生仏をまつり、人びとが甘茶をかけてお参りします。
甘茶(あまちゃ)とは
「アマチャ」という植物からつくられる、独特な甘さのあるお茶。
釈迦の誕生の瞬間に空からふり注いだ、清らかな水に見立ててかけられる。
花祭りでは、釈迦の誕生を祝うとともに、家族や子どもたちの健康を祈ります。
4.有名な像とお寺
- 銅造誕生釈迦仏立像/正眼寺(愛知県小牧市)
- 金銅誕生釈迦仏立像/善水寺(滋賀)
- 銅造釈迦誕生仏/大報恩寺(京都)
- 銅造誕生釈迦仏立像/悟真寺(奈良)
- 銅造誕生釈迦仏立像/東大寺(奈良)