日本の伝統文化を感じられるスポットとして定番の、お寺と神社。
雰囲気は似ていますが、おじぎの仕方が違ったり、合掌したり手をたたいたり……と、お寺と神社では作法が異なります。
「なんとなく、見よう見まねで」という人も多いと思いますが、正しくお参りすれば気分もすがすがしくなり、お寺や神社に行くのがさらに楽しくなるはず。
1.お寺と神社で参拝方法が異なる理由
お寺と神社では、
- 仏教(お寺)
- 神道(神社)
というふうに、信仰する宗教が違います。
お寺では「仏さま(仏像)」をまつり、お坊さんが仏教の修業に励んだり、亡くなった人のために法要(葬式・法事など)を行ったりします。
一方、神社では「神さま」をまつり、神主や巫女さんが五穀豊穣や国の平和などを祈ったり、七五三をお祝いしたりします。
あわせて読みたい「神」と「仏」の違いをイラストでやさしく解説
初詣、七五三、神社・お寺の縁日、秋祭り、すす払い…… 日本には季節ごとにさまざまな行事があり、神さまや仏ほとけさまに幸せを願ったり、地域の人たちが集まってお祭りを行ったりします。
続きを見る
このように、お寺と神社では
- 宗教
- まつっているもの
- 役割
などが違うため、お参りするときの作法も異なってきます。
2.参拝のステップと作法
【ステップ 1】門をくぐる
お寺・神社の門は、仏さまや神さまの住む神聖なエリアの入り口であるため、門をくぐるのにも作法があります。
帽子・サングラス・イヤホンなどは、あらかじめ外しておきましょう。
お寺の場合
- お寺の門(山門または総門)の前で、合掌しながらおじぎします。
- 敷居をまたいで門をくぐります。
- 拝観受付所がある場合は、そちらで拝観料を納めます。
- 帰りも同じように、門の前で合掌しながらおじぎします。
神社の場合
- 鳥居の前でおじぎします。
- 鳥居をくぐります。
- 帰りも同じように、鳥居の前でおじぎします。
ポイント
お寺・神社は、仏や神さまのおうちのような場所。
「お邪魔します」という謙虚な気持ちで、門をくぐりましょう。
【ステップ 2】境内を進む
門をくぐって境内に入ったら、参道(真ん中の道)を歩いて奥へと進みます。
お寺の場合
参道を歩くときは、どこを通っても構いません。
神社の場合
参道は「神さまの通り道」とされているため、真ん中を通らず、左右のどちらかに寄って歩きましょう。
ただし、混雑しているときは、参道の真ん中や砂利の上を歩いても構いません。
【ステップ 3】身を清める
お寺・神社の境内には、
- 手水舎(ちょうずしゃ)
- 常香炉(じょうこうろ)
という身を清めるための場所があります。
本堂や拝殿でお参りする前に、立ち寄りましょう。
(手水舎や常香炉が設けられていない場合は、【ステップ 4】へ)
手水舎での手順
手水舎は、お寺と神社の両方に設けられています。
お寺と神社で同じ
- 右手でひしゃくを持ち、水をくんで左手を洗います。
- ひしゃくを左手に持ち替え、同じように右手を洗います。
- 再びひしゃくを右手に持ち替え、左の手のひらに水をためて口をすすぎます。
- ①と同じように左手を洗い、ひしゃくに水を半分ほど残しておきます。
- ひしゃくを右手に持ったまま、取っ手が下に向くように垂直に立て、残った水でひしゃくの取っ手を洗い流します。
- ひしゃくをもとの場所へ戻します。
ポイント
口をすすいだ水は、飲まずに出すこと。
常香炉での手順
常香炉は、お寺にのみ設けられています。
お寺のみ
- 常香炉に設置されている「ろうそく」で線香に火をつけ、香炉に立てて供えます。
- 煙を浴びて身を清めます。
(線香は、お寺の販売所でも購入できます)
ポイント
線香の火は口で吹き消さず、手で風を送って消すこと。
【ステップ 4】参拝する
本堂(神社では拝殿)に着いたら、いよいよ参拝です。
- そのほかの建物でのお参り
- おみくじの購入
などは、本堂(拝殿)でお参りした後に。
お寺の場合
- さい銭箱にお金を入れます。金額に決まりはありません。
- 鰐口(つりさげられた円形の鈴)がある場合は、鳴らします。
- 合掌しながら、深くおじぎします。
神社の場合
- お寺と同様、さい銭箱にお金を入れます。
- 鈴がある場合は、鳴らします。
- 深いおじぎを2回します。
- 胸の前で手を2回たたきます。
- 最後にもう一度、深くおじぎします。
③~⑤の動作を「二礼 二拍手 一礼」といいます。
(彌彦神社・出雲大社・宇佐神宮の3社では、「二礼 四拍手 一礼」が正式な作法)
ポイント
さい銭箱にお金を入れる際は、投げずにそっと入れること。
3.そのほかの作法
(1)お参りする時間
お寺・神社では参拝時間が決められており、開門(開庁)が9時前後、閉門(閉庁)が17時前後となっていることが多いです。
夜でもお参りできるお寺・神社もありますが、お守りやお札を頂ける授与所の時間は決まっているため、授与所の空いている時間にお参りするのがよいでしょう。
お寺・神社の公式サイトにて、参拝時間を確認しておきましょう。
(2)服装
お寺・神社は神聖な場所であるため、派手すぎる服装や、過度な肌の露出は避けましょう。
(3)お寺の鐘
お寺に設置されている「釣り鐘」をついていいのは、許可されている場合のみ。
鐘を自由につける場合は、木の棒にぶら下がってるひもを手前に1~2回引き、その反動で鐘をつきます。
鐘をついた後は、再び鐘が鳴らないようひもを手で止めます。
ポイント
鐘は必ずお参りの前につくこと。
お参り後の鐘は「戻り鐘」といい、縁起が良くないとされています。
(4)おみくじの扱い
引いた後のおみくじの扱いについて、とくに決まりはありません。
- お寺・神社の「おみくじ結び所」に結ぶ。
- 持ち帰って保管する。
- おみくじ帳に挟んでおく。
など、好みの方法で扱いましょう。
大切なのは、おみくじのメッセージを心にとどめて行動すること。
解説は、以上です。
あわせて読みたい仏像を拝観するときのマナー
仏像は本来、拝おがむためにつくられた神聖なもの。 一方、彫刻作品として素晴らしいものや、歴史的価値が高いものも多いため、「美しい仏像をじっくりと見てみたい」と思うのも自然なことです。
続きを見る